ランニング

初マラソン3時間30分切りチャレンジについて

投稿日:2020年11月28日 更新日:

二人は、2021年3月18日に無事に3時間30分きりに成功しています。(追伸)

久しぶりにランニングについてブログを書きます。2月に左足中足骨を骨折して以来、7月には復活したものの、10月には再び左足中足骨に痛みが出て、自分は全力で競技に取り組めていません。2020年の年明けに設定した5㎞の18分切りという目標に挑める状況ではありません。

今回のブログでは、昨年から長距離を本格的に初めて、2月からコーチさせていただいている40代、3人の子育てママさんランナーのAcoさんと、50代男性のBobさんの二人の練習の取り組みと、2020年11月23日に小金井公園で行ったフルマラソンについてまとめたいと思います。以後、二人をABコンビまたは、ABと呼びます。

以前、市民ランナー成長の壁というブログでランナーの成長過程を4つに分けてまとめました。

  • 第一段階 5km以上を習慣として走る市民ランナー
  • 第二段階 10km、ハーフマラソン大会を目指す(月間走行距離100km)
  • 第三段階 フルマラソン目標タイムを目指す(月間走行距離150km-200km)
  • 第四段階 大会で自己ベスト更新を目指す (月間走行距離200㎞以上)

このカテゴリーでいうと、ABコンビは、第二段階から第三段階に目指しているところです。第四段階に入ると、自ら目標設定して、練習メニューを考えてランニングに取り組みますが、第三段階は、そうはいきません。

大会に出始めたランナーが、記録を目指す競技者として取り組んでもらって、目標をクリアするために、必要なことを、二人の指導を通じて学んびましたので、まとめたいと思います。

走力の測定、適切な目標設定、Daniel’sのVDOTを参考にした練習メニューを考えて、7月から取り組んでいただきました。以下の流れでまとめたいと思います。

2月の走力測定と11月の目標設定について

二人は運動センスが良く、2020年3月以降は、週5-6回、6㎞~15㎞くらい早朝に走っており、月間走行距離は250㎞から300㎞くらいで、初心者はとっくに脱しています。

Bobさんは、2019年5月から練習を始めて、2019年は山中湖ロードレースでは1時間57分で、2020年青梅マラソンで30㎞レースでは、2時間38分でゴールしています。

Acoさんは、大会にエントリーしてものの新型コロナで大会がなくなり、まだ大会には参加していません。しかし2月の段階で、こだいら市民駅伝3.1㎞を13’17(3㎞相当で12’51)で、10㎞ペース走で4’40/kmの設定で走り46’25、3月には4’50/kmでハーフ21.1㎞ペース走では、1時間41分でした。

この記録だけですと、Acoさんのほうが、Bobさんより走力がかなり上に見えますが、実際にはスピードはBobさんが上、持久力はAcoさんの方が上という感じで二人で同じ目標設定できると考えていました。

二人が走行距離は昨年から十分なのはわかっており、どう目標設定するか考えました。Acoさんの2020年2月の3.1㎞、こだいら市民駅伝の13’17をベースに、Daniels VDOT Calcuaterを使って、Equivaentで、設定を考えました。3㎞で12’51のEquivalentです。

表1. VDOT Calculater 3km 12’51相当(Acoさんの2月こだいら駅伝記録)

DistanceTimePace/km
1500m6’024’01
3000m12’534’18
5000m22’104’26
10K45’584’36
Half(21.1)1:41’534’50
Marathon(42.195)3:31’315’01

3㎞の走りで見ると、マラソンは3:31’51、ハーフは1:41’51ですが、まさに3月ハーフペース走で1時間41分で走っており、ほぼ、VDOTのEquivalent(同レベル)に乗っていますので、フルサブ3.5が現実的でしたので、11月23日勤労感謝の日に、小金井公園につくる設定するフルマラソンで、目標タイムとして3時間30分に設定しました。

3月末の時点で、11月23日に、3時間30分きりという目標設定をして、二人には月間250㎞から300㎞走るように取り組んでもらいました。7月、8月はペースはこだわらずロードで30㎞超えをそれぞれ2回してもらって、準備に入ってもらいました。

表2. ABコンビの月間走行距離

2020年BobAco
4月407㎞305㎞
5月402㎞353㎞
6月406㎞302㎞
7月285㎞273㎞
8月302㎞304㎞
9月309㎞257km
10月299㎞278㎞

ここまで読んで表2の二人の月間走行距離に驚いた人も多いと思います。これだけ走り怪我はないのかという疑問があると思います。Acoさんは、たまに右膝の外側が痛くなるのと、左足のふくらはぎが痺れる症状があります。激痛というほどではないようです。Bobさんは、ヘルニアから来る左の坐骨神経痛があるそうです。酷いときは屈めないそうです。但し、練習を続けても止めて休んでも痛みは変わらないそうです。というわけで二人は、朝4:00台には集合して練習を続けているようです。

9月から11月までのメニューについて

10月17日 5’10/km 30㎞ペース走、ラスト500m

9月以降は、走力全体をアップさせていかないと行けません。

コーチングする上で意識したことは、自分が主役になってもらいメニューにむかっていってもらうことです。第四段階に入るとメニューだけ渡せば自走して一人でも取り組んでもらえますが、第二段階から第三段階にむかっている二人、楽すぎず、ぎりぎり実現できる程度に、あきらめないように飽きないように、自分の中にあるものを自分で引き出せるように、そんなことを意識してメニュー考えました。

表1のEquivalentで、3㎞と21㎞が両方実現できています。もし、21kmが遅ければ、長い距離の練習を増やす、もし、3㎞が遅ければ1㎞、3㎞、5㎞など比較的短い距離のスピード強化に取り組むのが早いです。3㎞、21㎞でEquivalentで走れているので、この場合はスピードから強化するべきと考えました。

またマラソンで一番重要な要素が、一定ペースで走れること、長い距離のペースに応じた力を抜いた走りを覚えてもらうことです。オートラップに頼らずに距離が決まったコースの手動ラップで自分で時計を見てペース調整できることも、覚えてほしかったことです。30㎞ペース走を3回、5’20/km、5’10/km、5’00/kmと設定をあげて9/20、10/17、11/1と3回行いました。

スピード練習のインターバルの設定を、1㎞から3㎞と長い距離に伸ばしていったのですが、有酸素運動で走る距離を伸ばしていき長い距離に対応できる心肺機能の強化を狙いとしました。

1㎞では、無酸素運動で走る時間帯が長いですが、3㎞では有酸素運動で引っ張りきらないと走り切れません。長距離のレースに臨む前には長い距離のインターバルは有効です。

練習をクリアして成果を感じてもらって、さらに一歩上の練習に取り組んでもらい、意欲を高めてもらう、そんな練習メニューとなるように、段階的にレベルを上げていきました。

表3. 練習メニューと結果

日時設定結果
9/101km 5本@4’15/km、つなぎ90秒AB成功
9/205’20/km 30㎞ペース走 タイム2:40AB成功 2:38’31
5’20→5’00
10/12km 4本@4’15/km、つなぎ2分30秒A:3本まで
B:4本成功
10/7追試2km 4本@4’15/km、つなぎ2分30秒AB:成功
10/175’10/km 30㎞ペース走 タイム2:35AB成功 2:31’44
5’10→5’00
10/223km 3本@4’15/km、つなぎ3分AB成功
11/15’00/km 30㎞ペース走 タイム2:30AB成功 2:27’58
11/1410km @4’15/km → ABと話し合って
10㎞@4’20/kmに変更(タイム43:30)
A:成功 43:27
B:8km失速 43’57
10/17のペース走後のアフター、おしるこ

9月から11月までの練習成果

11/1 5’00/kmペース走 28.5km地点Aco さん

1㎞インターバルメニューは、VDOTでは、4’20/kmとなりますが、これまでの練習から1㎞4’15/kmの5本インターバルは余裕だと感じていたので、5秒あげて、1㎞4’15/kmから、これは自分は伴走せずに、自分のペースで走りながら様子見ていたのですが何の心配もいらないほど余裕でこなしました。

5’20/km 30㎞ペース走は、これも余裕だと思っていたので、5’10/kmに上げようと思っていたのですが、目標が3時間30分で4’58/kmであることを考えると、まだ暑い9/20で無理をする必要はありません。予定通り5’20/kmで実施しました。ここでは、フォームが大きくならないように肩の力を抜くようにというアドバイスをして、スピード練習とフォームを変えて長い距離での走りを覚えてもらいました。ラスト10㎞で少しずつペースをあげて最後はキロ5まであげています。

10/1が一番興味を持って二人を見ていた設定メニューです。2㎞@4’15/kmのインターバル、3本まはた4本と思っていましたが、Acoさんは、3本でギブアップ、Bobさんは4本できました。

同じタイムで1㎞5本と2㎞4本では、全く負荷が違います。2㎞の場合は、有酸素運動で走る時間が長くなりずっときつくなります。3本できれば十分と思っていましたがAcoさんも3本行けたので想定通りでした。10月7日は予定はなかったのですが、せっかくなのでリベンジで同じメニューをしたところ、Acoさんも4本クリア。すでに1回の練習でスピードになれました。

10/17のペース走は、5’10/kmでとくに心配もしていませんでしたが、たんたんと走っていました。二人とも、だいぶ肩の力は抜けており長い距離を一定ペースで走ることを覚えてきました。やはり後半10㎞ペースアップしています。

10/22の3㎞@4’15/km 3本は、自分の経験だとこれは無理だろうと思っていました。2本できれば十分と考えていたのですが、なんと、Acoさんも3本クリア。Acoさんには、ちょっと心理作戦で「2本できつかったら抜けてください」と伝えたのですが、負けず嫌いなので刺激されて力も発揮できたのか3本クリア。9月からの成長が早い。これには、30㎞のペース走の効果がスピード練習にも良い効果を与えたと考えています。

想定以上の成長を続ける二人の次の課題は、11月1日、いよいよ5’00/kmペース走です。

11/1 5’00/km 30kmペース走、28.5km地点 Bobさん

11月1日あまり心配していなかったのですが、結構きつそうな二人。いつものように20㎞から上げようと思ったがちょっと心配なので、25㎞からアップ。しかし、28㎞に向かうところ少しAcoさんが遅れて、焦った。ここで失敗させたら絶対にまずい、ちょっと上げすぎてラップが4’43/kmになっており申し訳ないことをしてしまいました。11月1日も予定通り、キロ5分で30㎞をクリア。

3回目には二人とも1㎞ごとの手押しラップを最後までとれるようになっており、ペースも把握しながら走ることも覚えてくれました。11月2日に二人の体調を聞くと、ちょっと風邪気味ということでやはり5’00/kmの負荷は大きいことがわかりました。レースペースに近づくと負荷は大きくなり体調管理が重要になってきます。

11月1日 5’00/kmペース走後のアフター

最後のメニューが本番2週間前の10㎞ペース走。本番に向けて心肺機能を最大限活性化させる10㎞全力で走ってもらい、本番での42㎞がジョグに感じるようにすることが狙いです。フルマラソンのレース直前のハーフマラソンを入れるランナーは多いですが、同じ狙いです。

設定は、10㎞@4’15/kmでできると考えていました。3㎞@4’15/kmが出来ているので、十分に行けると思ったのですが、二人と話して、失敗するリスクを下げるため4’20/kmとして、後半2㎞可能ならペースアップという設定にしました。

11/14は5:00集合、5:30スタート、自分は左中足骨が良くないので、自転車伴走。真っ暗で自転車でペース感覚もわからない。なんとか走り出して、4㎞ほど行くと、なんとBobさんがはあはあ、言い出した。5㎞折り返しでペーサー交替。Acoさんが後半は引っ張ることに。Bobさん少しずつ遅れる。叱咤激励してなんとかくらいついていたが8㎞でついに遅れ始めて、ここでAcoさん単独走。9㎞で4’29/kmと9秒おくれてしまったので、ここからは必至に応援、すると最後のラップは、4’16/kmまで巻き返しておりました。Bobさんは8㎞以降は落ち込んでしまいましたが、本当はもっと力があるので本番はやってくれるはずとと考えて、11月23日の設定は変えずに行くことにしました。Bobさんは、体調がよくなかったようです。11月23日の3日前から禁酒を伝えました。

11月14日 10㎞ペース走結果

  • Acoさん 43’27
  • Bobさん 43’55

11月23日の3時間30分チャレンジ

11月23日、この日もいつものように5:30、小金井公園たてもの園前に集合、動きながらする動的ストレッチをして、携帯するサプリメントの確認。アミノバイタルゼリーを1本飲んでもらって、スタートに備えました。サプリは、エネルギー系のWinzoneを12k、22k、32kの給水のタイミングで飲んで、37㎞でアミノバイタル粉末を1本または2本飲むというようにアドバイスしました。

スタート時は、おそらく10℃前後、無風、晴れていましたが気温は上がる可能性は危惧していましたが、ABコンビは暑さに弱いほうでもないのであまり気にしていませんでした。給水は10㎞に1回。サプリは予定通りにとってもらいました。

ゴールの時は気温は15℃以上まで上昇しました。また20㎞から風が強くなり乾燥して走りづらいコンディションになりました。残念ながら、Bobさん、Acoさんとも初マラソン、3:30切りは達成できず、残念な結果に終わりました。

コースは、小金井公園の中を、先に2.195㎞走ったのちに、5㎞往復を4セットするコースです。

小金井公園の42.195㎞コース、赤が2.195㎞、以後10kmを四往復

表4.Bobさんのラップ(赤字は大幅な失速)

Bob123455kmLap
2.2㎞0:05:110:05:2810:39
-7.2㎞0:04:580:04:520:04:440:05:020:04:5324:29
-12.2km0:04:560:05:040:04:540:05:040:04:5824:56
-17.2km0:05:0604:56.004:42.604:53.004:48.124:25
-22.2km0:04:480:04:540:04:550:04:570:04:5624:30
-27.2km0:04:480:04:540:04:540:04:560:04:5624:30
-32.2km0:04:580:04:590:04:560:05:030:05:1925:16
-37.2km0:05:000:04:590:04:580:05:070:05:1225:19
-42.2km0:05:070:05:010:05:180:06:040:05:5627:26
Finisih Time 3:31:39

表5.Acoさんのラップ(赤字は大幅な失速)

Aco123455kmLap
2.2㎞0:05:110:05:2810:39
-7.2㎞0:04:580:04:520:04:440:05:020:04:5324:29
-12.2km0:04:560:05:040:04:540:05:040:04:5824:56
-17.2km0:05:0604:56.004:42.604:53.004:48.124:25
-22.2km0:04:480:04:540:04:550:04:570:04:5624:30
-27.2km0:04:480:04:540:04:540:04:560:04:5624:30
-32.2km0:04:580:04:590:04:560:05:070:05:1525:15
-37.2km0:05:100:05:080:05:120:14:0829:38
-42.2km0:07:390:08:010:07:300:07:480:07:4538:43
Finisih Time 3:47:17

32㎞までは3人で一緒に走りましたが、二人の初フルマラソンチャンレンジは、残念ながら、ラスト10kでAcoさんは、離れてしまい、Bobさんは、40㎞で力尽きて失速、1分39分届かずに二人とも、初マラソン3:30切りを逃してしまいました。

今回のチャレンジで学んだこと

11/1の30㎞ペース走、11/14の10㎞ペース走トライアルでは、Acoさんは10km@4’20/kmの設定でクリアできたので、かなりの確率で初マラソン、3:30は達成できると信じていました

VDOT Calculaterでは、Acoさんの直前の10㎞のタイムではフルマラソンのequivalentは3:20’14(4’45/km)となり、4’58/km@42㎞、3:30という設定は、余裕があるのです。4’58/kmの設定は無茶ぶりではありません。

表6. VDOT Calculater 10km 43’27相当(Acoさんの10/14 10㎞走より)

DistanceTimePace/km
1500m5’413’48
3000m12’094’03
5000m20’574’11
10K43’27(Acoさん11/14)4’21
Half(21.1)1:36’164’34
Marathon(42.195)3:20’144’45

レース前の私の予想は、今回の初マラソンでは、30km以上は未知の距離になりますが、35㎞までは大丈夫かと思っていました。35㎞以降ABのうち、どちらかが、脱落しても一人が、4’58/kmで走れるなら、そのまま行こうくらいに考えていました。そのほかプランBやCはもっていませんでした。早めにAcoさんが脱落したとき、おろおろしてしまったのですが、ちょうど応援に来てくれたhatoさんに同走をお願いして事なきを得ました。

本当にこういうトライアルをやるときは、応援チームにも来てもらい、予定通りのプランA以外に、プランBやCを考えておいて、一緒に走ってもらうことが大事だと痛感しました。

表6を見ると、5kmとかは3㎞はAcoさんはいけると思います。ハーフも設定どおり行けると思います。Bobさんは、短い距離はAcoさん以上に余裕でいけるし、ハーフも行けると思います。フルマラソンだけは計算通りに行かないということでしょうか。「初フルはそんなもんだよ」と言ってしまえばそれまでですが、もう少し考えていきます。

Acoさんのレース後のコメントとしては、11/1の30㎞ペース走より、今回はずっときつかったということでした。確かに、二往復終わって22㎞くらいで、すでにこれまでにない疲れた表情でした。Acoさんはそもそもこの日は体調がいまいちだった(生理でない)のだと思います。最大の原因の一つです。

それから給水が少なかったという反省があります。そもそも10㎞に1回しか給水ポイントを設定していなかったですが、少なすぎました。5㎞の1回の設定にするべきだっとということが反省点です。

さらにAcoさんはペットボトルから飲むときにこぼれてしまったということで、うまく取れなかったということを言っていました。これまでも30㎞ペース走で練習してきたのですが、本番ではうまくいかなかったようです。二つ目の原因が給水不足です。

Bobさんは、惜しかったのです。ヘルニアによる坐骨神経痛を持っているものの当日はさほど悪かったようではなく体調が悪いようにも見えませんでした。11/14の失速の反省から体調管理は万全だったように見えました。10㎞に1回の給水が足りなかった点はAcoさんと同じですが、それ以外には目標達成できない理由もありません。Acoさんが、40㎞で前に出たらあと2㎞なんとかがんばれたかもしれません。3:31’39と、足りなかったのは1分39秒なので、ベース設定は合っていたと思います。

気温、風など気候の影響ですが、めちゃくちゃに暑くなったわけでも、ものすごい強風というわけではないので、気候は原因の一つではあるものの、決定打ではないかと考えています。

他の原因としては、ペースに応じた力を抜いた走りを二人とも出来ていなかったたことです。表6でいうと10㎞の走りは4’21/km、ハーフの走りは、4’36/km、フルの走りは4’45/kmと、ペースを遅らせるのに併せて使うエネルギー(糖質)も減らしていかないといけません。

スピードを落としたら、酸素摂取量も減らし、糖ではなく脂質をエネルギー源に変えて、糖の使用量を減らしていかないといけません。解糖系をなるべく動かさないようにしないといけません。そうしないとVDOTの設定どおりには走れません。

一言でいうと、心拍数を上げずに4’58/kmで走れるようになる必要があるということになります。Acoさんがエネルギー(糖質)切れが35㎞からとBobさんより5㎞早く来たのは、フルマラソンの走りで力を抜けていなかったことが原因の一つと考えています。

長い距離の練習は、7月、8月は30㎞走を月二回やってもらい、9月からはペース走も3回やっていますが、まだまだ力を抜いて長距離を走る練習が足りなかったのかもしれません。

フルマラソンリベンジは、距離練習を増やして、脂質で走る訓練をするのが良いのですが、子育てに忙しいママさんランナーAcoさんがどうやったら短い練習時間で、距離に応じた走りが出来るようになるかを考えたいと思います。ランスマでやっていたような、がちゆる走(1㎞2-3本を全力、休憩なしで7㎞~20㎞ジョグ)のような、セットメニューで時短+糖を使わないで走るメニューなどを取り入れたいと思います。

幸い、二人とも膝が痛いなど後遺症はあるようですが練習を再開して、今後も練習に取り組んでくれる様子なので、追い込みすぎないように次のイベントを検討したいと思います。

まとめ

二人のチャレンジを通じて学んだことを整理しておきます。

  • 初心者ランナーは、自分の走力を把握していないものです。妥当な練習メニューを組むには、ベストを出し切った大会の記録などからVDOT Calculaterを使って、1㎞インターバルメニューから、マラソン設定ペースまでを決めるのが妥当です。
  • 3㎞など短い距離がハーフなど長い距離より相対的に遅ければ、3㎞の短い距離の練習を中心に組み立てて、相対的にハーフが遅ければ、長い距離の練習を中心に組み立てるのが妥当です。
  • 30㎞のペース走は、段階的にペース設定を上げていき、自分の実力を理解してもらいなが自信をつけていくことが大切です。11月の後半ターゲットであれば、9月後半から、3週間くらいあけて3回できると良いです。
  • 30㎞ペース走は、1-3㎞のスピード練習にも良い効果を与えたように思えます。スピード練習も徐々に厳しい設定をクリアすることにつながりました。
  • コーチングの基本は、自分が持っているものを自分で引き出すことですが、意識がセットされていない段階では、少しずつハードルをあげて設定をクリアしていくことが大事です。
  • フルマラソン本番で失敗した原因は、体調が万全でなかったこと、給水が上手にできなかったこと、気候(気温上昇、風)に加えて、フルマラソンの距離に応じた省エネランニングが出来ていなかったことにあると考えています。

以上

    -ランニング
    -, ,

    執筆者:


    comment

    メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

    関連記事

    第16回乳酸研究会(2020/2/1)報告

    今年も東大駒場キャンパスで2020年2月1日に行われた乳酸研究会に参加してきました。乳酸研究会は、東京大学大学院教育学研究科で運動生理学を専門とされている八田秀雄(はったひでお)先生が主催されている一 …

    心拍計を使ったフルマラソンのペースコントロールについて

    ※1)2020年4月12日修正 市民ランナー高速化プロジェクトの2020年4月11日のオンライン勉強会で東大陸上部コーチで竹井尚也先生に、なぜ、フルマラソンでゴールまで一定ペースで走れていて、運動強度 …

    日本のトップランナーが世界に挑むために行うべきこと

    2020年3月1日 の東京マラソンで、大迫傑選手は文句なしの走りで東京五輪の出場権を獲得しました。TOP50のうち、23人が自己ベストを更新しています。そのうち21人が日本人でした。サブ10を達成した …

    長距離競技におけるエネルギー源と血中乳酸濃度の意味を考える

    *)NHKのEテレ、奇跡のレッスン「苦しみを楽しむ覚悟で走れ! 陸上 長距離(後編)」で、マラソンコーチのレナート・カノーバさんは、フルマラソンにおける速筋の寄与(スプリント能力の寄与)は3-4%とか …

    月間150㎞ランナーのための速すぎないスピード練習

    2019年9月から10月にかけて走力の近いランニング仲間二人向けにスピード練習を企画しました。二人は、ハーフマラソンで1時間40分台前半、キロ5以内で走る走力で、男性1名(ラン歴1年)と女性1名(ラン …

    小平市在住の50代男性のkamihooです。40歳から本格的にフルマラソンの大会に参加し始めて、2017年11月に48歳で大田原マラソンでサブスリーを達成しました。自己ベストは2020年1月の勝田全国マラソンの2時間54分37秒です。「ジョグのねっとわーく」でランニング日記をkamihooのアカウントで公開しています。https://jogno.net/

    Twitterアカウント@kamihoo2011

    毎週土曜日朝7:00から8:00まで小平中央公園噴水前集合で初心者やシニアと準備運動とジョギングしています。簡単なアドバイスもしています。よろしければ一緒に走りましょう。

    小平市では、「わたしたちのまちのつくり方」(http://watashimachi.main.jp/)という団体で、都市計画・まちづくりに関するイベント、地方選挙の公開アンケートなどを行っています。自分でやってきたことを整理する意味でブログをはじめました。

    ご連絡はこちら

    kamihoo2011@runkodaira.com

    プライバシーポリシー