ランニング

月間150㎞ランナーのための速すぎないスピード練習

投稿日:2019年10月26日 更新日:

2019年9月から10月にかけて走力の近いランニング仲間二人向けにスピード練習を企画しました。二人は、ハーフマラソンで1時間40分台前半、キロ5以内で走る走力で、男性1名(ラン歴1年)と女性1名(ラン歴8年)、月間走行距離は150-250㎞程度です。以前、市民ランナーの成長過程のレベルの第三段階と第四段階の間くらいです。

市民ランナーの成長過程

https://runkodaira.com/running/runner-growth-step/

二人はフルマラソンを目標として走っているわけではなく、ハーフマラソンでこの秋の自己ベストを目指しています。継続的に月間150㎞以上は走っているもののスピード練習は取り入れていませんでした。

スピード練習は、1㎞インターバルトレーニングのように有酸素運動の範囲で心肺機能強化をして持久力を向上させる主とする「有酸素運動のスピード練習」と、400mのインターバルやレペのように、無酸素運動も使って 血中乳酸濃度をあげ 走力(スピード)そのものを強化する「無酸素運動も使うスピード練習」と二種類あります。両者の違いについては、インターバルトレーニングの意義から効果的な設定メニューを考えるで記述しましたので参考にしてください。このブログで説明するのは、有酸素運動の範囲で心肺機能強化をして持久力を向上させる有酸素運動のスピード練習で、月間150㎞程度のランナーの持久力向上についてまとめています。

今回の練習は、早朝1時間の時間での4回シリーズで以下のメニューを組んで練習会をしました。目的は、①自分の走力を知ってもらう事、②ハアハアと息が上がって来ても5㎞くらいは持続できるということ、③設定どおり走れった時の達成感を感じてもらう事、を頭においていました。メニューは以下の通り

  • 9/15(日) 4’50/1㎞ 5㎞ 
  • 9/22(日) 4’40/1㎞ インターバル5本 Rest 90sec-120sec
  • 10/6(日) 3㎞@4’50/km -(400m、2分30秒) 2㎞@4’40/km - (200m、1分30秒)- 1km@4’30/km 
  • 10/13(土) 4’40/km 5㎞ 

スピード練習初心者が留意することと、二人と一緒に走って気付いたことを以下の順番でまとめたいと思います。

スピード練習はどの段階から始めるべきか

市民ランナーの成長過程 で書きましたが、第一段階 1回に 5km以上を習慣として走る市民ランナー 、第二段階 大会に出場し始める(月間走行距離が100㎞以内)から、第三段階 大会で目標タイムを目指す段階 (月間走行距離150km-200km) 、第四段階 大会で自己ベストを追求する(月間走行距離200㎞以上)としています。 第三段階 に入ったら、スピード練習を取り入れる時期かもしれません。

第一段階、第二段階までの月間走行距離が100㎞以下のランナーは、膝に負担がかかるようなフォームで走っていることも多く、そのようなフォームで、スピード練習をすることは危険で取り入れるべきではありません。まずは、月間走行距離が150㎞くらいで3か月程度を継続的にランニングをしても怪我がない身体をつくることが大事です。月間走行距離が150㎞程度を走るようになると、そもそも身体がランニング仕様になってきています。ランニングフォームも、着地の瞬間に身体の重心が着地した脚に載るというランニングの基本動作が出来ているはずで、スピード練習を取り入れても大丈夫です。

有酸素運動のスピード練習は、そんなにきついメニューではありません。第三段階のランナーは、 心肺機能向上で大きくタイムを向上させることが出来ます。有酸素運動のスピード練習では大会で記録が伸びなやむようになったら、その時が第四段階です。自己ベストを追求する第四段階に至るようになったら、400mのショートインターバル10本や、1kmレペx3本など無酸素運動もつかうスピード練習を取り入れて、200mや400mを速く走るようなトレーニングも取り入れる時期かもしれません。

第三段階では、有酸素運動のスピード練習

有酸素運動の スピード練習とは、フルマラソンやハーフマラソンのレースペースより速く走る練習のことを指します。5㎞や10㎞のレースのペースが近いかもしれません。

怪我をしない有酸素運動のスピード練習

スピード練習は、怪我しやすいと言われていますが、確かに怪我をしやすくなります。これはトップアスリートも市民ランナーも同じで、自分の限界のぎりぎりの設定でのスピード練習を行ったらリスクは高まります。では、どのような設定にすべきでしょうか?

有酸素運動のスピード練習で、インターバルトレーニングをする際には、フルマラソンの自己ベストタイムから計算するのが良いです。フルマラソンの自己ベストから計算する方法は、 有名なDaniels VDOT Calculatorによって、インターバルトレーニングの意義から効果的な設定メニューを考えるでインターバルの設定例を以下のようにまとめましたので参考にしてください。

  • サブ4レベル(5’40/kmペース) : 疾走5’11  つなぎジョグ200mで1’27
  • サブ3.5レベル (4’58/kmペース) : 疾走4’35  つなぎジョグ200mで1’22
  • サブ3レベル (4’14/kmペース) : 疾走3’59 つなぎジョグ200mで1’11

スピード練習の未経験者は、自分の走力の限界を把握していない場合が多いのと、さらに一定ペースで走るという感覚を理解していない場合も多いです。ですので、理想的には一人で始めるのではなくて、慣れたランナーにペーサーをしてもらうのが良いでしょう。ペーサー以外に、走力の近いランナーが一緒に練習に参加するとさらに良いです。ライバルがいると気持ちが高まり少々きつくても我慢して頑張ろうと思うからです。一人ではがんばれない、まさにその通りだと思います。

有酸素運動のスピード練習のメニューは、5㎞ペース走、インターバル、ビルドアップなどがありますが、まずは5㎞のペース走をお勧めします。一定ペースで走る練習になることと、5㎞をどの程度で走れるかを知ることによって、10㎞、ハーフマラソン、フルマラソンまでの走力の予測もできるからです。

5㎞のスピード練習の設定タイムは、参加者のハーフマラソンの記録より1㎞あたり10秒ほど速い程度か、10㎞のレースの平均ラップ程度で良いかもしれません。5㎞のレース経験者であればもちろん5㎞のレースペースも参考になりますが、暑い時期では、5㎞のレースペースを落としても良いかもしれません。1㎞インターバルでは、5㎞のスピード練習よりも10秒ほど速い設定というところが妥当です。インターバルのつなぎのジョグの200mも1分30秒から2分程度など一定として、心拍数を落とし過ぎないようにすることが重要です。

ハーフマラソンのペースより10秒程度速いペースであれば、5㎞くらいならば怪我をする可能性は低いです。ハーフマラソンの平均ペースより10秒ほど速いペースで走っても、フォームはほとんど変わらないでしょう。フォームが大きく変わらない範囲でスピード練習をすれば 過度に怪我の心配する必要はありません。

スピード練習初心者は、暑い時期は避けるべきです。とても辛く悪い印象をもってしまうからです。 怪我のリスクを減らすために、 アスファルトではなく、脚に負担が少ない400mトラックを利用するのが良いです。 スピード練習の初心者は、週1回以上の頻度でやるべきではありません。1週間に2回スピード練習をすると怪我をするリスクが高くなります。

メニューは、5㎞ペース走以外には、有酸素運動の範囲で行う1㎞のインターバル5本などが良いでしょう。設定は、 1㎞あたり10秒ほどペース走より速いペースが良いでしょう。

今回行ったメニューでは1回目は、4’50/kmで5kmペース走を行いました。2回目に4’40/kmのインターバルにしました。

3回目のメニューは3㎞(4’50/km)-2km(4’40 /km )-1㎞ (4’30 /km ) という変則的なインターバルは、どこまでスピードがあるか見るための練習でした。

最終回の4回目のメニューは4’40/kmの5kmペース走。1回目から10 秒ラップを上げています。10秒ラップを上げるのは練習メニューに自分の走力の限界に近いスピード練習を取り入れているランナーにはかなり敷居が高くしんどいです。しかしスピード練習初心者は走力の限界が分かっておらず、実は余裕がある場合もあり、もっと速い設定が実現可能な場合もあります。9月と10月の気温差からもあり涼しくなった10月は成功する可能性高いと見ていました。無事に最後まで4’40/kmを維持できたので1回目の9月からの成長を感じてもらう事が出来ました。

走力を知る方法、心拍数を使う

はじめてのスピード練習の設定が適正なペースであったかどうかを見るには、心拍計が有効です。疾走を終えたときに、息があがっているかどうか、これがわかりやすい指標になります。練習終了時ハアハアゼイゼイだとすると限界が近いです。しかし、ランナーによっては ハアハアゼイゼイ してから驚異的に粘れる人もいますので、同じような息遣いでも一人一人どんな状況は異なります。

心拍数などの定量的な指標があるとさらに良いでしょう。私の場合は、体調が良いときで160bpm以上になると限界が近くあと2-3㎞という感じです。体調が悪いと160bpmまで上げられないこともあります。心拍計を使ったフルマラソンのペースコントロールで Garmin のゾーン分けの指標を引用して説明していますが、疾走時の後半には最大心拍数90%のゾーン4の上限、私の場合は169bpm近くまで心拍数が上がるとかなりいい練習になっています。 なお、Garminの時計についている光電式の心拍計(正確には脈拍計)は、正確ではありません。胸につけるストラップ型の心電式の心拍計、胸が締め付けられてうっとうしいのですが、こちらの心拍計を使用することをおすすめします。

最初のスピード練習で練習終了直後に Garmin の心拍計で心拍数を見ること、心拍計がない場合は、15秒ほど脈を測り4倍することで、心拍数がわかるので、どれくらいまで上がっているかで次回以降の設定を決めるのが良いでしょう。最大心拍数は人によってそれぞれなのですが、 スピード練習を最後まで終えた直後 で150bpmより低い場合は、疾走のペース設定が緩すぎるので、もう少し設定を速くしても良いでしょう。またインターバルの場合はつなぎの時間でも110bpm以下まで落としてしまうと無酸素運動もつかってしまうため望ましくありません。長距離の競技のマラソン大会で、無酸素運動が使えるのは心拍数が上がっていない最初の400m程度と、心拍数を限界まで上げ切っても先がないラストスパートの400m程度だけです。無酸素運動で速く走れる練習をしても長距離のマラソン大会では記録を出すことは出来ません。但し、記録が頭打ちになって、スピードそのものを強化する目的で無酸素運動も使うスピード練習をする場合は話は別です。

スピード練習初心者は、達成感が大事 !

ランニングは精神力が問われる競技である事は間違いないですが、精神論が通用する競技ではありません。無理なペースで長い距離を精神論で走ることはできないのです。オーバーペースで走ると、トップランナーでも失速してしまいます。これは、2019年9月15日のMGCの設楽悠太選手の走りを見てもわかるでしょう。

練習もしかりで、1kmだけ速く走り以後は失速するようなペース走もインターバルも持久力アップに繋がりません。最後まで有酸素運動の範囲で設定どおり走り切れる設定にすることがとても大切です。

スピード練習初心者の反応はさまざまで、本当は余力があっても辛そうにして最後まで走るランナーもいれば、黙って脱落していくランナーもいます。人それぞれなので、参加者のレベルが合っている事が重要になります。

今回行った練習会では、終わったあと、とても晴れ晴れしい表情でした。最後の5km@4’40/kmのペース走は二人共成功して、「出来ないとおもったけど走りきれて爽快」ということで、達成感でいっぱいでした。企画した私も自分の設定が間違っておらず最後まで付いてきてくれたのがとても嬉しく2人以上に喜びました。この秋の大会で二人はレースで良い結果が出ると思います。

達成感があるときつい練習も乗り切れるようになります。スピード練習にとりくむにはこの達成感が大事です。そして走力アップ、マラソン大会での目標達成、良い循環が始まるのです。

まとめ

  • マラソン大会に目標タイムを設定しているランナー、月間150㎞程度の練習をするようになったら、有酸素運動の範囲のスピード練習が有効
  • 怪我をしにくい有酸素運動の範囲のスピード練習は、ハーフマラソンのラップより1キロ当たり10秒ほど速いです。5㎞ペース走から始めてみましょう。さらに 1キロ当たり10秒ほど速い ペースでの1㎞5本のインターバルなども有効です。つなぎのジョグで休み過ぎないように有酸素運動を継続して出来るペースで。
  • 適正なペースでスピード練習が出来ているかどうかは、練習直後の心拍数を見るのが有効です。個人差はありますが、心拍数150bpm以下ではペース設定がやや遅いです。インターバルの場合は、110bpm以下まで心拍数を落としてしまうのは有酸素運動でなくなり、無酸素運動も使ってしまうため望ましくありません。
  • スピード練習初心者は、達成感が大切です。無理のない設定スピードから入り、自分が出来ないと思っていたスピードで走り切れたとき、爽快感を得ることが出来て良い循環が始まります。

以上(2019年10月26日)

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    小平市在住の50代男性のkamihooです。40歳から本格的にフルマラソンの大会に参加し始めて、2017年11月に48歳で大田原マラソンでサブスリーを達成しました。自己ベストは2020年1月の勝田全国マラソンの2時間54分37秒です。「ジョグのねっとわーく」でランニング日記をkamihooのアカウントで公開しています。https://jogno.net/

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