ランニング

日本のトップランナーが世界に挑むために行うべきこと

投稿日:2020年4月2日 更新日:

2020年3月1日 の東京マラソンで、大迫傑選手は文句なしの走りで東京五輪の出場権を獲得しました。TOP50のうち、23人が自己ベストを更新しています。そのうち21人が日本人でした。サブ10を達成した日本人選手が20人もいました。前半が下り基調でアップダウンが少なく、 天候にも恵まれ、 ナイキのVFやAFの厚底シューズ効果がありますが、日本のトップレベルの走力は底上げされていると言えるでしょう。

今回は、2020年3月1日の東京マラソンの世界のトップ選手のペース配分を分析します。さらに、2019年のロンドン、ボストン、ベルリン、ニューヨークシティの各マラソン大会のTOP10の5㎞ラップを見ることで、日本のトップ選手が、世界に追いつくために実践すべきことを提案したいと思います。

たかだかサブスリーの50代市民ランナーが言うべきことではないかもしれませんが、世界のトップランナーのペース配分が、自分が実践しているペース配分と近く、日本のランナーがあまり実現できていないことなので言いたいことを言わせていただきたいと思います。

今回は以下の流れで説明します。

東京マラソンの第一集団、第二集団のペース配分

順位   5km 10km 15km 20km 25km  30km 35km  40km Goal
(5km換算)
Time
1 Birhanu Legese ETH 14:32 14:40 14:46 14:43 14:34 14:27 15:07 14:53 14:55 2:04:15
2 Abdi Bashir BEL 14:37 14:36 14:48 14:41 14:43 15:03 15:09 14:47 14:37 2:04:49
3 Sisay Lemma ETH 14:33 14:39 14:47 14:42 14:34 14:27 15:07 15:10 15:38 2:04:51
4 大迫 傑 JPN 14:33 14:39 14:49 14:41 14:50 15:08 14:56 15:15 15:07 2:05:29
5 Karoki Bedan JPN/KEN 14:33 14:39 14:48 14:42 14:43 15:03 15:24 15:37 15:25 2:06:15
6 El Hassan El-Abbassi BRN 14:33 14:40 14:47 14:43 14:39 15:06 15:10 15:42 16:01 2:06:22
7 Mengstu Asefa  ETH 14:33 14:39 14:47 14:42 14:34 14:27 15:07 15:57 17:21 2:06:23
17 Kariuki SIMON KEN/JPN 14:33 14:39 14:48 14:42 14:38 14:53 14:53 16:52 18:08 2:07:56
18  Amos Kipruto KEN 14:36 14:38 14:47 14:42 14:47 14:59 15:26 16:19 17:43 2:08:00
19 Molla Getaneh ETH 14:32 14:40 14:47 14:42 14:36 15:21 15:27 16:29 17:23 2:08:12

図3.東京マラソン2020/3/1 第一集団5㎞ラップ

東京マラソン第一集団のラップを表とグラフで表示しました。ラスト2.195㎞だけは、5㎞換算した速度でグラフにしています。第一集団にいた選手のうち20位以内に入った選手のみを取り上げており、26位だった井上大仁選手などは、除外しています。図1グラフのGoalまでの2.195㎞が最も速かったのが2位だったAbdi Bashir(バシル・アブディ)選手が赤、次いで優勝したBirhanu Legese (ビルハヌ・レゲセ)選手が濃い青、3番目が4位入賞の大迫傑選手が黄色、4番目の薄い青が5位になったケニア出身で日本で活躍しているKaroki Bedan(ビダン・カロキ)選手です。総合順位で1位、3位、4位、5位は、30㎞以降でペースを上げている選手です。

東京マラソンの特徴は第一集団のペースメーカーの設定ラップが2’55-2’56/㎞、第二集団が2’58/㎞と非常に高速の設定だったことです。高速設定なので早々に第一集団は人数が減って行きました。22㎞で大迫選手が離れて、24㎞で井上選手が離れて、第一集団は25㎞には3人になります。さらにペースメーカーが一人になってしまい、上手にリードすることが出来ずに、24㎞から27㎞までが、2:51/km~2:52/kmと高速で引っ張ってしまうなど、ミスリードもありました。

25㎞時点で、優勝のレゲセ(自己ベスト:2:02:48)、3位のSisay Lemma(レマ・シサイ 自己ベスト:2:03:36)、7位になったMengstu Asefa(アセファ・メングスツ 自己ベスト:2:04:06)に3人に絞られました。レゲセ選手は全体でも自己ベストタイムが一番良い世界3番目の記録をもつ選手で実力が抜けていました。しかし、2時間4分15秒で優勝したもののキプサング選手の持つコースベスト2:03:58を塗り替えることは出来ません。レゲセ選手以外の2選手は、3位になったレマ選手も、ゴール前でバシル選手に抜かれてしまいます。7位のメングスツ選手はラスト2.195㎞の5㎞換算のペースが17分台まで落ちてしまいました。中盤に2:51/km~2:52/kmの脚をつかったことのエネルギー切れが如実に表れた結果になりました。

第一集団の中で、自己ベストを出したのは、アブディ選手と大迫選手だけでした。この二人は力を出し切ったと言えるでしょう。最もレースをうまく組み立てたのが、2位に入ったアブディ選手です。生まれはソマリアのベルギーの選手です。35-40㎞が14’47、ラスト2.195㎞が5㎞換算で14’37とペースをあげて、自己ベストを1分25秒も短縮する2:04:49という会心の走りでした。次に力を出し切ったのが大迫選手で、自己ベストを21秒短縮しています。

大迫選手は、30㎞まで一度ペースを落として、30㎞から35㎞までを14:50とペースアップしました。アブディ選手は32㎞から36㎞あたりまで大迫選手に引いてもらい品川の折り返してからスパート、大迫の前に出てペースアップという戦略が見事にはまっています。この二人のゴールタイムの差は40秒です。周りの選手がタイムを落としている中での加速で効率よく追いつき引き離しています。2人の選手実力差以上に、アブディ選手の35㎞以降の加速する戦略が見事にはまった結果といえます。

表2.東京マラソン2020/3/1 第二集団の5㎞ラップ

順位   5km 10km 15km 20km 25km  30km 35km  40km Goal
(5km換算)
Time
8 髙久 龍  14:40 14:39 14:51 14:46 14:48 15:13 15:31 15:35 14:57 2:06:45
9 上門 大祐 14:39 14:48 14:50 14:47 14:49 15:12 15:31 15:35 15:18 2:06:54
10 定方 俊樹 14:39 14:48 14:50 14:47 14:48 15:13 15:31 15:38 15:36 2:07:05
11 木村 慎 14:39 14:48 14:51 14:45 14:50 15:12 15:31 15:47 15:50 2:07:20
12 小椋 裕介 14:40 14:47 14:51 14:46 14:48 15:13 15:41 15:53 15:20 2:07:23
13 下田 裕太 14:41 14:47 14:50 14:46 14:48 15:13 15:31 15:47 16:06 2:07:27
14 菊地 賢人 14:39 14:48 14:50 14:46 14:48 14:52 15:28 16:09 16:22 2:07:31
15 一色 恭志 14:41 14:48 14:51 14:55 15:17 15:13 15:21 15:38 15:45 2:07:39
16 設楽 悠太 14:39 14:48 14:50 14:46 14:49 15:13 15:31 16:05 16:06 2:07:45

図4.東京マラソン2020/3/1 第二集団のラップ

東京マラソン第二集団のラップを表とグラフで表示しました。ラスト2.195㎞だけは、5㎞換算した速度でグラフにしています。第二集団にいた選手のうち8位から16位の設楽悠太選手までを9名を取り上げておりますが、全員日本人です。図2グラフのGoalまでの2.195㎞が最も速かったのが8位で2時間6分台を出した高久龍選手です。その他2.195㎞だけペースアップできたのは、上門選手、小椋選手、定形選手の3名だけです。そして彼ら第二集団の日本人選手が全員30㎞-35㎞後半、35km-40kmと15:30までペースを落としています。

実は、設楽選手を除く8名の選手が2分以上の自己ベストを短縮しており、6分台2名、7分台喜ばしい結果だとは思います。しかし、図1の世界のトップ選手と比べて、30㎞以降の5㎞ラップのグラフがだいぶ違います。落ち込みが激しいのがよくわかります。ペースメーカーの設定は2:58/kmだったのですが、ペース設定が速かった上に現実は下り貴重ということもあり2:56/kmのペースまで上10km走っており前半で消耗していました。東京五輪の出場権がかかっていたとはいえオーバーペースでした。第二集団のペースは、3’00/kmから3’03/kmくらいが適切でした。3’00/kmイーブンで走りきれば2:06:35でゴールできますので、高久選手のタイムを上回ることが出来ます。前半を抑えていたら第二集団の選手はもっと良いタイムを出せた可能性もあります。

ここまでトップの19人の5㎞ラップ見ました。後半大きく落ち込まないようにペースを考えてペース配分できる能力を持つ日本人選手は、大迫傑選手だけだったということになります。逆に言うと、他の日本人選手はペース配分が上達すれば、もっと記録を伸ばすことが出来るといえます。

次に、世界のマラソンのペース配分を見ていきます。

世界のマラソン大会の ペース配分

2019年4月28日 ロンドンマラソン

まずは、2019年4月28日に行われたロンドンマラソン。ケニアのKIPCHOGE, Eliud(キプチョゲ)選手と トラックの王者のFARAH, Mo (GBR)(ファラー)選手との対決が注目された大会でした。

表3.2019年4月28日ロンドンマラソン

順位   5km 10km 15km 20km 25km  30km 35km  40km Goal
(5km換算)
Time
1 KIPCHOGE, Eliud (KEN) 14:23 14:39 14:42 14:43 14:14 14:27 14:52 14:26 14:21 2:02:37
2 GEREMEW, Mosinet (ETH) 14:23 14:39 14:41 14:43 14:14 14:26 14:52 14:27 14:55 2:02:55
3 WASIHUN, Mule (ETH) 14:23 14:39 14:41 14:43 14:17 14:23 14:52 14:33 15:29 2:03:16
4 KITATA, Tola Shura (ETH) 14:23 14:39 14:42 14:43 14:14 14:27 14:52 15:08 18:11 2:05:01
5 FARAH, Mo (GBR) 14:24 14:39 14:41 14:43 14:20 14:43 15:15 15:41 16:35 2:05:39
6 TOLA, Tamirat (ETH) 14:24 14:39 14:41 14:43 14:21 15:40 16:30 15:29 14:57 2:06:57
7 ABDI, Bashir (BEL) 14:47 15:02 15:15 15:04 14:45 15:01 15:19 15:05 15:31 2:07:03
8 GEBRESILASIE, Leul (ETH) 14:23 14:39 14:42 14:43 14:14 14:51 16:05 16:19 16:49 2:07:15
9 RACHIK, Yassine (ITA) 14:47 15:03 15:15 15:04 14:46 15:00 15:31 15:34 16:21 2:08:05
10 HAWKINS, Callum (GBR) 14:47 15:02 15:16 15:02 14:45 15:01 15:31 15:34 16:42 2:08:14

図5.2019年4月28日ロンドンマラソン

優勝したのはキプチョゲ選手。25㎞から30㎞、35㎞まで一度ペースを落として、35㎞から加速しています。さらに最後の2.195㎞は加速して、2位の GEREMEW, Mosinet (ETH) 選手を振り切っています。

このレースでは、上位3選手が35㎞から加速しているほか、東京マラソンで2時間4分49秒で自己ベストで2位に入ったABDI, Bashir (BEL) (アブディ)選手も図3の濃い青色ですが、 第二集団から、35㎞からの加速で、2時間7分3秒で7位に入っています。アブディ選手は、2019年10月のシカゴ、2020年3月の東京でも、やはり後半加速で自己ベストを二度更新しています。

一方トラックの王者のファラー選手は、25㎞以降は5㎞ごとのラップが、少しずつ落ちてしまい、2時間5分39秒という成績に終わっています。ファラー選手の5㎞、10㎞の強さと比較するとまだまだ物足りない記録です。まだフルマラソンの走り方に慣れていないというべきでしょう。

2019年9月29日ベルリンマラソン

次に、2019年9月29日のベルリンマラソンを見てみます。東京マラソン優勝のレゲセ選手、3位のレマ選手が出場したレースです。優勝したのは、37歳の ケニアの Kenenisa Bekele (ベケレ)選手でした。

表4.2019年9月29日ベルリンマラソン

順位   5km 10km 15km 20km 25km  30km 35km  40km Goal
(5km換算)
Time
1

Kenenisa Bekele
ETH

14:24 14:29 14:36 14:29 14:32 14:25 14:20 14:15 14:05 2:01:41
2 Birhanu Legese
ETH
14:25 14:28 14:36 14:29 14:32 14:23 14:09 14:58 15:29 2:02:48
3 Sisay Lemma
ETH
14:25 14:27 14:37 14:29 14:33 14:22 14:23 15:38 15:16 2:03:36
4 Jonathan Korir
KEN
14:25 14:28 14:37 14:28 14:33 15:11 15:57 16:10 15:48 2:06:45
5 Felix Kandie
KEN
14:43 14:47 14:49 14:47 14:58 14:54 15:12 16:17 17:28 2:08:07
6 Yohanes Gebregergish
ERI
14:44 14:46 14:50 14:46 14:58 15:08 15:12 16:19 17:35 2:08:26
7 Guojian Dong
CHN
14:44 14:46 14:54 14:54 15:14 15:26 15:28 15:56 16:10 2:08:28
8 Bethwel Yegon
KEN
14:43 14:47 14:50 14:47 15:05 15:26 15:24 16:10 17:37 2:08:56
9 Kenta Murayama
JPN
14:44 14:46 14:49 14:47 14:58 15:34 15:24 16:33 18:23 2:09:39
10 Abel Kipchumba
JPN
14:43 14:48 14:47 14:48 14:59 14:54 15:14 17:01 20:57 2:10:26

図6.2019年9月29日ベルリンマラソン

アップダウンがほとんどなく記録の出やすいレースとして有名なベルリンマラソン。25㎞過ぎて、レゲセ、ベケレ、レマ選手の3選手に優勝は絞られました。29㎞を過ぎて、レゲセ選手とレマ選手が抜け出して、優勝したベケレ選手は、じりじりと引き離されていきます。 YoutubeのBerlineマラソンのダイジェスト映像の38秒では、31㎞過ぎにベケレ選手は レゲセ・レマ両選手から 50m近く離されているのがわかります。

だれもがレゲセ・レマ一騎打ちとなることを予想したでしょう。しかし、ベケレ選手は冷静に自分のペースを守って走りをしていたのでした。33㎞でレゲセ選手がレマ選手を置き去りにし、いよいよレゲセ選手の独走となり優勝を疑わない状況になりました。しかし34㎞付近で遠くにいたベケレ選手の姿が大きくなっていきます。34.8㎞のスペシャルドリンクのエイドで2位のレマ選手を抜かして、さらに、37㎞で脅威的なスピードでベケレ選手がレゲセ選手を追いかけて37.5㎞(YoutubeのBerlineマラソンのダイジェスト映像の2分ごろ)で追い越します。このときレゲセ選手はベケレ選手の加速に全く反応できず、一瞬にして置き去りにしていきました。

5㎞ラップを見ると、ベケレ選手だけは、35km-40km-Goalまでを少しずつ加速しています。一方、レゲセ選手とレマ選手は、35㎞から少しずつペースが落ちてしまっています。 レゲセ選手も35-40㎞のラップを14:58秒で走っていますが、ベケレ選手は14:15秒というこのレースの5㎞最速ラップをたたき出し、さらにラスト2.195㎞は、トラック競技のような14:05(5㎞換算)まで加速して、レゲセ選手を1分以上引き離してゴールしています。 レゲセ選手は、2016年のベルリン優勝以来の優勝で、37歳にして世界2位の記録、キプチョゲ選手の世界記録にあと2秒と迫る自己ベストとなる2時間1分41秒という好タイムでの優勝でした。 このレースは、35㎞付近まで力を貯めてラストスパートすることが有効であることを示したレースと言えるでしょう。

2019年10月13日 シカゴマラソン

次は、2019年10月13日のシカゴマラソン。優勝したのは、ケニアの Cherono Lawrence (ローレンス)選手で、記録は2時間5分45秒。日本で活躍するケニア人ランナーのカロキ選手も出場しており40kmまで優勝争いに加わっており2時間5分48秒の自己ベストを出しています。

表5.2019年10月13日シカゴマラソン

順位   5km 10km 15km 20km 25km  30km 35km  40km Goal
(5km換算)
Time
1 Cherono Lawrence KEN 14:45 14:43 14:43 14:50 14:56 15:02 14:55 15:16 14:59 2:05:45
2 Debela Dejene ETH 14:45 14:44 14:43 14:50 14:54 15:03 14:54 15:15 15:06 2:05:46
3 Mengstu Asefa ETH 14:46 14:43 14:43 14:50 14:53 15:04 14:54 15:15 15:11 2:05:48
4 Karoki Bedan KEN(JPN) 14:45 14:42 14:43 14:52 14:52 15:05 14:54 15:16 15:20 2:05:53
5 Abdi Bashir BEL 14:47 14:43 14:53 15:09 15:21 15:29 14:53 14:38 14:27 2:06:14
6 Tura Seifu ETH 14:46 14:43 14:43 14:50 14:54 15:03 14:54 16:20 19:03 2:08:35
7 Chumba Dickson KEN 14:45 14:42 14:44 14:50 14:54 15:03 15:29 16:38 18:27 2:09:11
8 Farah Mo GBR 14:47 14:42 14:54 15:09 15:22 15:36 15:53 16:05 17:05 2:09:58
9 Riley Jacob USA 15:33 15:26 15:31 15:29 15:34 15:44 15:27 15:18 14:57 2:10:36
10 Mock Jerrell USA 15:33 15:25 15:32 15:29 15:33 15:45 15:27 15:18 14:59 2:10:37

図9.2020年10月13日 シカゴマラソン

このレースでは、優勝したローレンス選手ほか、4選手が30kmから加速します。しかし、35㎞からはやや失速してしまい、ラスト2.195㎞は加速するもののローレンス選手の優勝タイムも、自己ベストの2時間4分6秒には、1分以上遅いタイムでした。スパートのタイミングを35㎞前後すれば結果はどうなっていたでしょうか?もう少し好タイムが出たのではないかと予想します。

このレースでも自己ベストを更新して5位になった ABDI, Bashir (BEL) (アブディ)選手 は、素晴らしいペース配分でした。10kmから30㎞までは無理せずに15分前半から15分29秒までのラップで力を蓄えて、30㎞からの35㎞、40㎞とラスト2.195㎞を14:58、14:38、14:27と3段階で加速して、この時点での自己ベストの2時間6分14秒でゴールしています。

2019年11月3日ニューヨークシティマラソン

次に、2019年11月3日のニューヨークシティマラソンを見てみます。優勝したのは Geoffrey Kamworor (カムウォロレ)選手、記録は2時間8分13秒と好記録とは言えないレースでした。日本の竹ノ内 佳樹 選手も参加しており2時間11分18秒で8位になっています。

表6.2019年11月3日ニューヨークシティマラソン

順位   5km 10km 15km 20km 25km  30km 35km  40km Goal
(5km換算)
Time
1

Geoffrey Kamworor

(KEN)

15:16 15:19 15:10 15:35 15:47 15:18 15:09 14:14 14:37 2:08:13
2

Albert Korir

(KEN)

15:18 15:15 15:11 15:35 15:47 15:19 15:10 14:25 15:02 2:08:36
3

Girma Bekele Gebre

(ETH)

15:12 15:21 15:11 15:36 15:44 15:22 15:08 14:29 14:59 2:08:38
4

Tamirat Tola

(ETH)

15:21 15:13 15:11 15:35 15:45 15:21 15:09 14:54 15:36 2:09:20
5

Shura Kitata

(ETH)

15:18 15:15 15:11 15:36 15:45 15:21 15:11 16:00 16:01 2:10:39
6

Jared Ward

(USA)

15:19 15:15 15:12 15:34 15:50 15:17 15:30 15:50 15:52 2:10:45
7

Stephen Sambu

(KEN)

15:19 15:13 15:13 15:35 15:46 15:21 15:31 16:01 16:24 2:11:11
8 竹ノ内佳樹 15:20 15:15 15:10 15:35 15:46 15:20 15:34 16:09 16:17 2:11:18
9

Abdi Abdirahman

(USA)

15:19 15:17 15:09 15:37 15:47 15:19 15:31 16:20 16:30 2:11:34
10

Connor McMillan

(USA)

15:20 15:29 15:34 15:48 15:58 15:20 15:53 15:52 15:40 2:12:07

図10.2019年11月3日 ニューヨークシティマラソン

このレースでも上位4選手は、35㎞ー40㎞と大幅にペースをアップをしています。20㎞、25㎞までペースを落としているため勝負に徹したところがありますのであまり参考にはなりませんが、世界のレースでは35㎞以降が勝負であることを示したレースと言えるでしょう。竹ノ内選手は、25㎞以降は、5㎞のラップを少しずつ落としてしまうという残念な走りになっています。

日本のトップランナーが世界に追いつくために

さて、ここまで2019年度の世界のメジャーなマラソン大会あるロンドン、ベルリン、シカゴ、ニューヨークシティ、東京のトップ選手の5㎞ラップを中心に見てきました。トップ選手は、35㎞以降に加速している例が多々あり、そのようなレース展開をした選手が、好記録で自己ベストを出していることがわかりました。

日本選手では、唯一大迫選手が後半の加速をするレースをしています。自身の前日本記録である2018年のシカゴマラソンで出した2時間5分50秒の際も、30㎞、35㎞と14分30秒前後までラップをあげてレースを作っています。

世界のトップレベルに少しずつ近づいている日本人選手と言えるでしょう。何故、大迫選手だけが世界のトップに近い走りが出来るのでしょうか。一つには大迫選手は、ナイキに所属しており、アメリカ中心に海外の選手とともに練習を積んでいるのが大きいと言えるでしょう。トレーニングの質ももちろんですが、ペース配分などについても学んでいるように思います。

なお日本の女子選手ですと、一山麻緒が2020年3月8日の名古屋ウィメンズマラソンで、35㎞から加速して2:20:29という好記録を出していますが、まだ後半加速して好記録を出したの、この一レースだけですので、自身で組み立て結果をだしたのかどうかはわかりません。

大迫選手を追う日本のトップランナーである設楽悠太選手、井上選手、高久選手を始めとする選手は、どうすれば世界のトップランナーに追いつけるでしょうか?これまで示してきた通り35㎞からペースを上げられるようなペース配分が出来るようなペース配分を覚える必要があると思います。 良く日本のマラソン大会でテレビのアナウンサーが言う「このままいくと、2時間〇〇台が出ます」という解説は大迫選手以外の日本トップランナーは後半失速するために当てはまらないと、言って良いでしょう。

ここで改めて、ベルギーのバシル・アブディ選手の2019年のロンドンマラソン、シカゴマラソン、2020年東京マラソンの5㎞ラップを一つのグラフにして見てみます。

 

図11.バシル・アブディ選手の3レースの5㎞ラップ

2019年ロンドンマラソンでは、最初から第一集団にはついて行かず第二集団で走っています。20-25㎞で一度ペースアップするものの30㎞から他の第二集団の選手がおちていくのに対して35㎞までペースを落として、35-40kmで加速、ラスト2.195㎞はペースを落とすものの2時間7分3秒。シカゴでは、10㎞まで第一集団についていきますが、その後は、自重して、30㎞までペースを落として、35㎞、40㎞、ゴールまで加速し続けて2:06:14でゴール。東京マラソンも14:55秒前後の高速ペースに第一集団についていくものの、大迫選手同様に、20㎞以降、急激な加速にはつかず、35㎞までは自重して35㎞以降スパートして、6位から2位まで順位をあげて、大迫選手に40秒の差をつけて、2時間4分49秒の自己ベストを出して言います。約1年前のロンドンマラソンから2分以上自己ベストを短縮しています。

日本選手は、バシルアブディ選手のペース配分を見習うべきです。世界に追いつくためには、序盤の5㎞を15:00/kmか、それ以下に抑えて走り、35㎞まで我慢して、そこから加速する走りを身に付けるべきですそのためには、後半にペースをあげる選手が多く出る大会に出るべきで、世界のメジャーなマラソン大会に参加して、海外の選手のペース配分を真似るのが良いと考えます。

日本のマラソン大会のペースメーカーの設定も5㎞ラップを、15:00以上にするのは無謀といえます。大迫選手以外は2時間6分台なのですから、むしろ15:00以下のペースで入り、後半35㎞以降ペースを上げて自己ベストを出せるようなペース設定にするべきでしょう。

最期に自分のことを少しだけ書きます。やっとサブスリーレベルの市民ランナーである自分のことで恐縮ですが、自分は35㎞以降に最速ラップを持ってくるペース配分にしてから、3年連続自己ベストを更新することが出来ています。また、失敗レースがほとんどなくなりました。そのあたりのノウハウは、今後ブログをまとめていきたい(2020年4月のブログにリンクしました)と思います。

まとめ

  • 2020年3月1日の東京マラソンは、大迫選手だけが後半も加速する走りが出来ており世界レベルに近い走りをしていました。そのほか第二集団にいた日本人選手は、8人が自己ベストを更新したものの、35-40㎞で失速しておりペース配分はよくありませんでした。
  • 世界のマラソンで好記録を出した大会を見ると、ロンドンマラソンのキプチョゲ選手、ベルリンマラソンのベケレ選手などを見ると、35㎞以降で加速しています。世界で勝つためには、終盤に力強い走りが出来ることが必須となっています。また、第二集団以下の選手も35㎞以降加速して上位に進出する選手もいます。
  • 日本人選手が世界トップランナーに近づくためには、35㎞以降で加速する走りを覚えるべきです。ソマリア出身のベルギー選手である Abdi Bashir(バシル・アブディ)選手 のペース配分が参考になるでしょう。海外のレースにどんどん出場して、後半加速する選手の真似をするのが有効な手段となるでしょう。
  • 日本のマラソン大会は15:00/5㎞以上の設定ではペースが速すぎて後半失速してしまいます。国内の大会もペース設定は、15:00/5kmまたはそれ以下に設定して、35㎞以降で加速する走りを身に付けるべきでしょう。

以上(2020年4月2日)

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