政治・社会

御前崎市における産業廃棄物処理施設の設置の住民投票について

投稿日:2020年1月14日 更新日:

2019年12月8日に、静岡県御前崎市で、産業廃棄物処分施設の設置の是非について、直接請求による住民投票が実施されました。投票率 60.81%で賛成1,565(9.8%)、反対14,409(90.2%)、9割以上が反対という結果になりました。結果を受けて御前崎市の栁澤市長は、設置許可権限を持つ静岡県に相談、施設を計画している大栄環境株式会社に対して計画の撤退を要請しています。

大阪和泉市にある大栄環境株式会社が、御前崎市の池新田地区に (仮称)御前崎リサイクルエネルギープラザ整備事業という廃棄物処理施設(焼却施設)を計画しました。 大栄環境 は、建設予定地で誘致した池新田財産区管理会と御前崎市との間で、土地賃借契約の3者契約を結んだ後に、2018年3月に環境影響評価の手続きに入り、2018年4月に住民向けに説明会を実施しました。

不透明な経緯に不信感をもった住民グループが直接請求による 住民投票を求める運動を開始して2019年6月に御前崎市の有権者の44%にあたる11,829人の有効な署名と共に住民投票条例案を、 提出し市議会の議決を得て住民投票に至りました。44%の有感者が署名したという事実は、 地方自治法の規定の1/50(2%)を大幅に超える数で、過去の直接請求の住民投票の事例と比較しても最大級です。

以後、以下の流れでこの住民投票を見ていきます。

御前崎市住民投票、2020年1月までの経緯

御前崎市の住民投票に至るまでを約20秒の動画にまとめました。

図1.産業廃棄物処理施設の計画から住民説明会まで
図2.住民投票の実施とその後の動き

御前崎市では、お隣の牧之原市と共に、牧之原市御前崎市広域組合 環境センターで市の一般廃棄物(市民の出すごみ)を処理しています。御前崎市の一般廃棄物処理基本計画によれば、焼却施設、粗大ごみ処理施設、最終処分場(管理型)、最終処分場(安定型)、リサイクルセンターがありますが、埋め立て最終処分しているのは、ガレキだけのようで焼却灰はリサイクルしているようです。この施設のうち焼却施設は、1992年に建設されたもので、94トン/16時間稼働から、2007年に141トン/日に改良しています。27年経過して老朽化が課題となっており、更新を計画する時期に来ていました。

2017年6月市議会で、栁澤市長は市議の質問に対して、「老朽化している市のごみ処理施設について御前崎市、牧之原市、吉田町の2市1町と関係する一部事務組合で、組合などによる共同処理、もしくは民間を含めた外部委託の二者択一で検討している。」と回答しています。市として民間委託も検討対象としていたことがわかります。

2017年の12月には、御前崎市は、「大栄環境」に対して、御前崎リサイクルエネルギープラザ整備事業(産業廃棄物処分施設)の予定地である池新田財産区と、3者による土地賃貸借契約書を締結します。市議会に諮らずに土地賃借契約を実施したことが後に批判されています。契約書を公開したある市議のブログによれば、2018年7月に明らかになったことがわかります。

市の一般廃棄物処理を委託する可能性もあったため賃貸契約したと考えられますが、なぜ公表せずに迷惑施設である産業廃棄物処理施設向けに土地賃貸契約したかは不明です。後に公表したら反発があることは容易に想像できたはずです。この過程が不透明であったことが後の住民投票の運動につながっています。

池新田財産区、財産区という聞きなれない用語ですが、地方自治法の294条に規定があります。「市町村及び特別区の一部で財産を有し若しくは公の施設を設けているもの又は市町村及び特別区の廃置分合若しくは境界変更の場合におけるこの法律若しくはこれに基く政令の定める財産処分に関する協議に基き市町村及び特別区の一部が財産を有し若しくは公の施設を設けるものとなるもの(これらを財産区という。)」

わかりづらいですが市町村合併の際に、合併前の市町村が持っていた財産について、新しくできる市町村に奪われてしまうということになると、抵抗する人が現れて合併が進まないために、財産区という制度を設けたようです。なお東京都には島しょ部と、あきる野市、瑞穂町にしかありません。

公務員総研のホームページによると財産区の財産とは、山林、土地、ため池、墓地、温泉地などのようです。地方自治体の会計とは別会計になっている特別地方自治体と呼ばれる法人です。池新田財産区管理条例によれば、財産の処分には、池新田財産区管理会の財産の同意が必要です。なお、池新田財産区の財産とは何を指すのかわかりませんでした。池新田財産区の敷地内の南側に浜岡砂丘があり太平洋に面しています。西側には中部電力浜岡原発に面しています。会計もWEB公開されていないようで財産区の財産についてはよくわかりません。

2018年3月には、大栄環境は産業廃棄物処分施設の設置許可の権限をもつ静岡県に、環境影響評価方法書を提出して手続きに入ります。計画が明るみになり2018年4月に住民説明会が実施されました。

不透明な経緯や、産業廃棄物処理施設の環境への影響から2019年2月に住民グループが住民投票を求める運動を開始して、6月には御前崎市の有権者の44%にあたる11,829人の有効な署名と共に住民投票条例案が市に提出されます。市長は肯定的な意見をつけて市議会に付託。市議会議員14名全員で構成される産業廃棄物処理対策等調査特別委員会で審議されて可決、市議会でも11:2で可決されて12月に住民投票が実施されました。

住民投票が12月8日に実施されて反対多数になりました。結果を受けて、栁澤市長が、設置許可権限をもつ静岡県知事に相談して、大栄環境に対して計画の撤退を要請しています。

御前崎市住民投票に至るまでの経緯

時期 イベント
2017年6月 6月市議会議会にて市長は、老朽化している市のごみ処理施設(一般廃棄物処理施設)について御前崎市、牧之原市、吉田町の2市1町と関係する一部事務組合で、組合などによる共同処理、もしくは民間を含めた外部委託の二者択一で検討していると発言
2017年12月 御前崎市、池新田地区財産区は「大栄環境」に対して、御前崎リサイクルエネルギープラザ整備事業(産業廃棄物処分施設)の予定地についての土地賃貸借契約書を締結
2018年3月 「大栄環境」が(仮称)御前崎リサイクルエネルギープラザ整備事業(産業廃棄物処分施設)の静岡県に対する環境影響評価手続きを開始。環境影響評価方法書提出、縦覧開始
2018年4月

2018年3月議会で、市長が説明会開催を求めていた大栄環境は、池新田公民館で産業廃棄物処分施設についての住民説明会実施

2019年2月 産業廃棄物処分施設についての住民投票を求める市民団体「住民投票で決める会」発足
2019年6月 住民投票で決める会が、直接請求による住民投票条例案を、御前崎市の有権者の44%にあたる11,829人の有効な署名と共に提出
2019年6月 御前崎市柳沢市長が民意を大切にしたいという賛成の意見をつけて市議会に提出
2019年6月~8月 産業廃棄物処理対策等調査特別委員会(市議14名で構成)で審議されて8月26日、住民投票条例案が期日前と不在者の投票実施を明文化される修正がされて、10:3で賛成多数で可決
2019年9月 市議会9月定例会にて住民投票条例案が11:2で賛成可決
2019年11月

御前崎産業廃棄物対策調査等特別委員会の場で、池新田財産区管理会の役員と推進協議会、市民グループがそれぞれ参考人として呼ばれて意見聴取を実施。誘致を主導したとされる池新田財産区管理会メンバーも2名出席

2019年12月 12月8日住民投票実施、当日有権者数26,450のうち60.81%が投票して、賛成1,565(9.8%)、反対14,409(90.2%)で反対が約9割
2019年12月

12月13日住民投票の結果を受けて、御前崎市柳沢市長が産業廃棄物処分施設の設置許可の権限を持つ静岡県川勝知事に撤退について相談。12月20日に御前崎市柳沢市長が産業廃棄物処分施設を計画している大栄環境役員に撤退を要請する。大栄環境側は、「より多くの方々に理解をしてもらい、理解をしてもらったうえで計画を進めていきたい。その考えは今でも変わらない。」と回答。

御前崎市住民投票への御前崎市の対応について

今回の産業廃棄物処分施設の参入に対する 御前崎市の対応は、大いに問題がありました。テレビ、ネットのニュースでは圧倒的な民意を市長、市議会がが後押しして住民投票が実現して迷惑施設である産業廃棄物処分施設の撤退を大栄環境に要請するという流れを報じていますが、御前崎市の一般廃棄物施設の検討の手抜きが根本原因にあります。

現在の牧之原市御前崎市広域組合の環境センターは27年経過しており更新について検討をすすめないといけない時期で、2017年6月議会で、他の市町村との一部事務組合による公営処理か、民間委託で検討をしていたことを市長は明らかにしています。同市議会である市議が、「当該施設は、理論の上では一般ごみも焼却できるとのことであります。当市の一般ごみの焼却施設につきましても、現状は老朽化が進み、施設の更新を検討せねばならない時期であろうかと思います。これをどのように扱うかは別にいたしまして、当該施設と関連させながら、あるいは別建てで議論は必要でありますけれども、いつの日か俎上にのせる必要があるのではないかと考えております。」と発言しています。市の一般廃棄物処理を大栄環境の産業廃棄物処理施設に依頼することも検討していた思われます。

ところが、市は一般廃棄物処理施設の更新について十分な検討をしないまま、議会にも諮らず、2017年12月に池新田財産区管理会と同意のものと、御前崎市は大栄環境に対して土地賃借契約書を締結してしまいました。大栄環境が環境影響評価の手続き及び住民向け説明会を行ったところで、産業廃棄物処理施設の計画や市との賃借契約が明るみになって不透明な経緯に市民の不信感が高まってしまったため住民投票に至りました。2019年2月の議会では、市長は、「市を二分するような賛成、反対の活動が続いておりますことを本当に残念に思っております。当初から(大栄環境に)説明会を要請しておりますので、その説明をしていただいたならば、賛成、反対はあるにしても、こういったことにはならなかったのではないかと私は思っております。」という答弁をしていますが、大栄環境が説明会をもっと早く行ったとしてもやはり反発は変らず大きかったでしょう。市が役割を放棄していたことが問題なのです。

御前崎市は大栄環境と土地賃借契約をする前に、一般廃棄物処理施設の更新方法を検討して公表すべきでした。 牧之原市御前崎市広域組合の環境センターを更新する方法、 大栄環境に一般廃棄物処理を委託する方法について比較検討して、市民に公表して市議会での議論や意見募集をするべきでした。一般廃棄物の処理の検討なしで、わずかな雇用や税収があるだけで市民へのメリットが少ない迷惑施設である産業廃棄物処理施設を新設することで反発を受けないわけがありません。

直接請求されたのちの市の対応、市長が住民投票条例に肯定的な意見をつけたこと、50%投票率などの成立要件をつけるなどの住民投票つぶしの行為をしなかったこと、投票結果を受けて、権限を持っている静岡県知事に相談の上、大栄環境に対して撤退を要請しているのは、民意を尊重した正しい動きだと言えるでしょう。市議会の産業廃棄物処理対策等調査特別委員会は、 2019年11月29日 に、池新田財産区管理会と市民グループが参考人として呼んで、Youtubeで公開での討論を実施しております。素晴らしい取り組みです。Youtubeは最も多くの人が見ることが出来るメディアです。雰囲気もよく伝わってきておりどのように誘致が進んできたかが良く分かります。池新田財産区管理会の2名と、反対もしくは慎重の市民団体9団体を産業廃棄物処理対策等調査特別委員会が呼ばれて意見交換しています。

2019年11月29日 の産業廃棄物処理対策等調査特別委員会の43分ごろには、「ふるさとのしぜんをまもりたい」という市民グループの団体の代表が、2018年4月の説明会では大栄環境の説明会の際に、誘致をした 御前崎リサイクルエネルギープラザ推進協議会や池新田財産区管理会の出席がなかったことや、大栄環境は御前崎市の一般廃棄物(家庭ごみ)は焼却しないという説明があったことなど指摘がありました。 そうなると一般廃棄物の問題とは別問題で、 御前崎リサイクルエネルギープラザ (産業廃棄物処理施設)の誘致が進んでいるかのようにも聞こえますが、市役所も誘致にからんでいたという証言もあり、やはり一般廃棄物の焼却についても依頼することを協議していたと思われます。 よく詰めずに推進している人たちの圧力で市長は土地賃借契約をしてしまったのでしょう。地方の事情というか独特の力関係のようなものがあったのでしょうか。

1時間12分ごろに「こどものみらいをかんがえるかい」の市民グループの代表からは、御前崎リサイクルエネルギープラザ推進協議会からは勝手に名前が使われた人がいたという証言もあり、誘致が推進協議会や、管理会の会長、副会長、ある市議が非公開で強引に推進していたことがわかります。

「こどものみらいをかんがえるかい」に対して、 ある市議からも市民グループに質問しています。1時間14分ごろに 「牧之原市御前崎市広域組合環境センターで市の一般廃棄物焼却施設で燃やしているが、ダイオキシンの排出基準は旧基準値であるが、最新の焼却施設は少しでもダイオキシンを抑制できるが、子供の未来を守るためには、一般廃棄物の問題はどう解決していけば良いか提言して欲しい」と本質的な問いをしています。市民グループの代表の方は、ゴミ問題はリサイクル率、一人当たりの排出量、分別方法など他市の例も参考にしながら、市全体で考える必要があると回答していました。このようなやりとりは民度をあげることにつながり、市議はもちろん、市民グループ側も大いに学んで今後の市政の改善につながるでしょう。

Go Vote Omaezakiという市民グループの代表からは、市議14名が全員男性で、子育て世代の意見が反映されない。物質的な豊かさよりも持続可能性や自然の豊かさに価値をもっている子育て世代層一定数いる、市議会とは、価値観が異なっているという指摘がありました。市議との対話を通じて問題を解決したいという前向きな意見が出ています。住民投票の運動を通じて、次回の市議選に挑戦する子育て世代があらわれることを予感させる市民グループの活動が伝わってくる内容でした。

この 2019年11月29日の特別委員会での市民の意見は、誘致の不透明な経緯に対する住民の怒りがあまりに大きいことで、マイナス面が大きくなりすぎてしまっていることがわかります。環境への影響、迷惑施設のダイオキシンの健康面への不安など環境への懸念、地震の際の津波が想定される場所でつくる施設が適切なのか、浜岡砂丘の環境の問題などが挙げられました。その他、ネット上の声としては、他市で出される産業廃棄物がトラックで運ばれてくることに対する物流量の増加などを懸念する声などもありました。

御前崎市住民投票の市民運動について

市民グループの住民投票を求める動きは大変活発でした。約3万2千人の小さな市とは言え、署名期間1か月で、44%にあたる 11,829人の有権者の署名を集めるのは容易なことではありません。運動が大きく広がったことを意味しています。「住民投票で決める会」の運動はよくわかりませんが、様々な市民団体がこの問題についてブログ、SNSなどで意見を表明しています。Go Vote Omaezakiというグループの活動は、Facebook、Twitter、InstagramなどSNSによる拡散以外にも、クラウドファンディングによる広報資金調達や、Zoomによるオンライン討論会など、最新のIT技術も活用して、多くの人が議論に参加できる場を用意した素晴らしい活動だったと言えるでしょう。

Go Vote Omaezaki の素晴らしいところは、御前崎の市政を考える会という産業廃棄物処理施設について肯定的で誘致に関係していると思われる団体のチラシも拡散していることです。住民投票を直接請求で求めるということは、なんらかの主張があるから市民運動するわけで、ニュートラルであることはあり得ません。しかし逆の立場の人の意見にもしっかり耳を傾ける姿勢を持つことはとても大事な事です。質が高い市民運動であったと言えるでしょう。

結果として、御前崎市の選挙並みとはいきませんでしたが、投票率も60.81%とまずまず高くなったことにつながっていると思われます。

直接請求による住民投票は、選挙という間接民主主義で民意を反映できない今回のような行政の進め方に対して、民意を反映させるためのツールとして地方自治法に規定されています。民意を明らかにすることが最終的な目的になりますが、運動の過程で様々な意見が出されて熟議がすすみ、市民が判断できる材料がそろって、市民同士が連携を深めていき、市民と行政の関係も近づいていくことに意義があります。

結果は、90%が反対となったわけですが、推進する側の主張、 御前崎の市政を考える会という産業廃棄物処理施設を肯定的で誘致に関係していると思われる団体のチラシ の影響は小さかったようです。このチラシでは、御前崎市の一般廃棄物処理施設の問題に触れており、大栄環境の産業廃棄物処理施設で処理できる可能性について触れております。しかし誘致したい側の論理と捉えられたのか投票した有権者の約10%の市民にしか浸透しなかったというのが結果でした。誘致したい側が完全に悪者になっていますが、市が一般廃棄物処理の将来について検討を十分にしないまま、大栄環境と土地賃借契約をしてしまったことが問題の発端です。

これからの一般廃棄物処理施設について

これから多くの地方都市は、人口が減少しています。国の政策としても国債が膨れ上がり財政が悪化している現状から地方自治体に コスト削減をもとめています。一般廃棄物は、2市、3市の広域組合だけでは、税負担が大きすぎて処理施設を維持更新できなくなるという時期が来ます。さらに多くの地方自治体が、もっと大きな組合をつくって一般廃棄物処理施設を更新していくことになり、PFI (Private Finance Initiative) をつかった民間委託などの方法も検討されていく必要があるでしょう。

御前崎で計画されていた産業廃棄物処理施設での一般廃棄物の処理の可能性とその際のメリット・デメリットがどこまで検討されたかはわかりませんでした。現在の牧之原市御前崎市広域組合環境センターの一般廃棄物焼却施設が141トン/日の処理容量に対して、大栄環境の産業廃棄物処理施設は、566トン/日で計画されているため、実現の可能性はありました。PFIによって焼却施設を民間会社に外部委託することで建設から(契約期間中の)運用までのライフサイクルコストを下げる取り組みは他市ではたくさん実施例があります。内閣府の民間資金等活用事業推進室(PPP/PFI推進室)の公表しているデータによれば、2019年3月までに地方自治体で 医療施設、廃棄物処理施設、斎場等について111件の例があるようです。

このように書くと御前崎市など人口が減少している地方都市の一般廃棄物処理を民間委託すべだと考えているかのように捉えられるかもしれませんがそうではありません。市が処理することになっている一般廃棄物処理施設は迷惑施設ではあるが、避けては通れない問題なので複数の可能性を十分に検討して市民の意見も聞いて市民の理解を得ながらすすめるべきであると言いたいのです。

御前崎市では市の進め方が悪いため検討以前に、大栄建設への産業廃棄物処理施設への委託の可能性はなくなったと言えるでしょう。御前崎市の一般廃棄物処理施設を更新の時期は、近づいていますが今回の 住民投票の運動で行政・市議・市民ともに意識が高まったはずで、良い解決策を見出せるはずです。今後の動きを注視したいと思います。

まとめ

  • 2019年12月8日に、静岡県御前崎市で大栄環境株式会社の産業廃棄物処分施設の設置の是非について直接請求による住民投票が実施されました。投票率 60.81%で賛成1,565(9.8%)、反対14,409(90.2%)で反対が9割以上が反対で、市長は、設置許可権限をもつ静岡市に相談の上、大栄環境株式会社に撤退を要請しています。
  • 老朽化している牧之原市御前崎市広域組合の一般廃棄物処理施設の更新が課題となっているなかで、 一般廃棄物も処理できる可能性もあった大栄環境の産業廃棄物処理施設の誘致の話があったことに端を発します。市長は、 産業廃棄物処理施設の誘致について公表せず、市議会にも諮らずに大栄環境と池新田財産区管理会と3者の土地賃借契約書を締結してしまったことが明らかになって市民の反発を買って直接請求による住民投票の運動が始まりました。
  • 住民投票の運動が始まってからの市の対応は、 特別委員会を設置して池新田財産区管理会と市民グループが参考人として呼ばれて、公開で討論を実施 したことなど民意をくみ取ろうとする姿勢は評価できます。市民の運動の進め方については多くの団体が意見表明をしており、幅広く異なる意見も聞いて住民投票で決めようという姿勢がみられて素晴らしい運動でした。
  • 一般廃棄物(家庭ごみ)は自治体の課題であり、人口が減少していくと市民一人当たりの一般廃棄物処理費が増えていくため、全国の地方自治体の課題となるでしょう。地方自治体が避けて通れない迷惑施設でありは、様々な手法を検討して市民の合意を得ながらすすめていくべき問題です。

以上(2020年1月14日)

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    執筆者:


    1. kamihoo2011 より:

      2020年4月20日の御前崎市議会議員選挙で、16名中1名が女性議員が当選しています。これも住民投票効果かもしれません。
      https://www.city.omaezaki.shizuoka.jp/kurashi/shisei/shigikai/giinmeibo/h280422giinnmeibo.html

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