小平都市計画道路3・3・3号線新五日市街道線(小平市小川町2丁目区間)の事業概要及び測量説明会が6月26日(水)19:00から小平市中央公民館ホールで説明会がありました。 小平市の都市開発部と、水と緑の公園課の職員が説明していました。新まちづくり・みちづくりパートナー事業という東京都23区26市1町で決めた優先的に整備される路線から外れた都市計画道路のうち、地元市からの強い要望がある路線について東京都が補助金を出す制度を利用するという説明でした。整備するエリアは、小川町2丁目の約440mの区間で2019年に測量開始、2020年に事業認可取得、2027年に完成を目指して進めるという説明でした。鎌倉公園については農業公園としての整備することを目指して同じく2027年開園を視野に入れてまずは基本計画をつくるという説明でした。
このブログでは、以下について記述します。
目次
小平3・3・3号線とは
小平にお住まいで3・3・3号線って何?という方は、下の二つの地図をご覧になってください。小平市を東西に貫く東京都施工の都市計画道路です。西東京市の青梅街道を起点に、小平市は花小金井の南側を通り、光が丘商店街、鈴天通り商店街、学園東町の住宅街、市役所の南側を通って小川二丁目、小川町の畑や住宅街などを通って、玉川上水を西に抜けて立川市を経由して拝島の 16号線 の横田基地の南側につながる総延長約33㎞都市計画道路です。新五日市街道ともよばれています。 小平エリアは小平3・3・3号線とよぼれており、約8.5㎞あります。
今回整備されるエリアはどこ?
これまで整備された小平市部分は、上の地図だと黒い部分、花小金井駅ロータリの南側、武蔵野美術大学のキャンパスとその東西のエリア。さらに、 オレンジ色部分の立川市との境界上の立川通りを直線にするため小川橋を西にかけかえするエリアの北側も整備予定です。西東京市から小平市の新小金井街道までの青色の部分が、2016年から10年間で優先的に整備される路線に選定されています。
今回の事業概要は、都市計画公園3・3・1号(鎌倉公園)の整備に併せて、公園へアクセスするための道路として整備するとの説明でした。青梅街道とたかの街道の間を通る東西道路で、山王通りから府中街道まで幅員28m、2車線、延長約440mで整備されます。小平市都市開発部が準備した資料によると事業の効果として以下をあげています。
- 鎌倉公園へアクセスするための道路の確保
- 新小平駅周辺のまちづくりの促進
- 地域内道路ネットワークの形成
- 災害時のいっとき避難場所でもある小平第十五小学校へのアクセスの利便性・安全性の向上
以下、私の意見です。鎌倉公園へのアクセスについては、南北道路の山王通り及びたかの街道があるため整備効果の一番にあげるには説得力が弱い、また28mの幅員は必要ありません。新小平周辺のまちづくりの促進については、新小平駅から300m以上離れており、これについても、無理があるように思えます。地域内道路ネットワークの形成について、たかの街道は渋滞で混んでいる時間帯があるので、東側から府中街道までは少し早くいけるようになるかもしれません。しかし行き先は府中街道てあるため、府中街道が混雑していれば、そう変わらないのではと思います。避難場所である15小へのアクセスは周辺に住む人は効果はあるかもしれません。いづれも40億円の公共予算を投じる理由は見当たりませんでした。
説明会参加者からの質疑で見えてきたこと
以下が事業概要に出席した参加者の質問に対しての小平市の回答です。
- 総工費と財源 → 約40億円、うち土地買収に必要な費用9割が東京都負担、整備費用1割が小平市負担
- 見込まれる交通量 → 一日2,000台弱程度になると見込んでいる。
- 公園の整備は同時にされるのか? → 道路完成と同時期の2027年。全部出来るかはわからないが部分開園でも可能。現在作成中の鎌倉公園公園整備基本計画をつくる中で具体化していく。
- 優先整備路線に指定された東側の小平3・3・3と接続は30年以内に可能か? → 都の優先整備路線の整備と異なる目的でつくる。市が骨格幹線道路の整備をするわけではないので答えられない。
- 小平市が行った 小平都市計画3・3・1号(鎌倉公園)等に関するアンケート調査報告書(2018年3月) には明確に推進意見が7、明確に反対意見が12、どちらでもない意見が17あった。反対の意見が推進を上回る中で事業化するのか? → 反対の声もあることも承知しているが様々な意見がある中で取り込めるものは取り込んで皆様にご理解をもとめながら丁寧に進めていく。
- 新まちづくり・みちづくりパートナー事業は、地元市の強い要望があった道路に対して行われる事業であるがどのような強い要望があったのか? → 新まちづくり・みちづくりパートナー事業を使うと東京都が費用を負担してくれるので有利に道路整備が進められる。東京都が2016年初めに多摩地区の市町村に声がかかった。並行して進めている鎌倉公園の整備の基礎調査に併せて都市計画道路も進めるべきと市の内部で考えた。道路にかかる土地の地権者にインタビューしたところ賛成の意見が多かったため、強い要望として東京都にあげた。
- 新小平周辺のまちづくりということで、土地区画整理事業や小川駅西口のような再開発事業のような計画はあるのか? → いまのところはない。要望があれば検討する。
- 道路ではなく鎌倉公園の敷地内に住んでいるが、用地買収されるのはいつになるのか? → まだなんともいえない。基本計画をつくる中で検討したい。
- 地権者は熱心に果物をつくっている農家が多い。何人から合意してもらっているのか? → 22人地権者がいる。概ね合意されている。
以下、私の印象です。都市開発部の道路整備について鼻息があらいのに対して、水と緑の公園課の鎌倉公園の検討が遅れているという印象でした。質問が出ると部分開園も出来ると消極的な意見に変わっていました。小平市の予算は、税収はほぼ横ばいにも拘わらず、福祉予算が膨らんで膨張をつづけており財政事情が悪化している中で、約2.9haの用地を買収する予算が確保できるのでしょうか?また鷹の台駅西側の創価のグランド後も鷹の台公園の都市計画公園があり、小平中央公園もあり小平市の西側に公園予算が偏重しているように思えます。鎌倉公園の整備にはこれから基本計画をつくるという消極的な回答で、道路つくりだけが先行しているという印象です。小平市の行ったアンケート結果の小平3・3・3号線についての自由記述意見を明確に推進、反対のもの、どちらでもないものに抜粋整理したものに分類してPDFにしました。まちづくりのための道路との説明にしては、周辺住民の理解は得られているとは言い難いです。
市議会での議論は?
2016年の9月議会での政和会の小野高一市議が質問と小林正則市長の回答が、この計画に至るやりとりであることがわかります。こちらは小平市議会のホームページにある会議録の閲覧・検索から誰でも閲覧できる情報です。検索キーワードに、「鎌倉公園」「3・3・3」などを入れると検索に引っかかります。
- (市議)新小平駅周辺の地域の都市基盤整備はどう考えているか → (市長)新小平駅周辺の課題として、他の駅周辺に比べて開発余地を多く残しており、新小平駅の将来的な利便性の向上や現在の開発余地の豊富さを生かした新しいまちの機能を検討する必要あり
- (市議)鎌倉公園を農業公園として整備して農地の保全をしたらどうか → (市長)都市計画公園を活用した農を身近に感じる空間としての整備を含めた、一体のまちづくりや基盤整備について検討する必要あり
- (市議)鎌倉公園の整備を後押しできるように、新みちづくり・まちづくりパートナー事業を新小平駅周辺地域でも活用し、早期に小平都市計画道路3・3・3号線を整備することはできないのか? → (市長) 新みちづくり・まちづくりパートナー事業を利用して東京都に要望する。
事業概要説明会でわかったことは、新小平駅周辺の都市基盤整備については、小平市は現時点で考えていない、鎌倉公園の整備は、部分開園も出来るという中途半端な説明、都市計画道路小平3・3・3だけは進める、このときの市議会で決まっていたようです。
小平市の都市計画マスタープランは2017年3月に改訂されました。本編 第4部 地域別構想のP72には中途半端な記述があります。「 (鎌倉)公園整備にあたっては、隣接する小平3・3・3号線の一部区間などの周辺の基盤整備も検討し、青梅街道周辺との回遊性を高めるまちづくりのあり方を検討する中で、健康増進にもつながるまちづくりを進めます 」。小野市議と小林市長の市議会の答弁に対して、 新小平駅の都市基盤整備は具体的には何も計画がない中で、小平3・3・3をすすめるにあたっての無理筋な作文になっています。私はこの点を、パブリックコメントでNo.104で意見していますが、お決まりの残念な回答が返ってきています。小平市が決めていることには市民の意見は反映されない典型的な例です。
国、東京都の方針
国交省は2016年に都市計画道路に対して見直しの手引きを出しています。元のリンクはこちら。「はじめに」から抜粋すると以下の記述があります。
- 都市計画道路は、高度経済成長期における都市の拡大を前提に決定されたものが多く、近年の人口減少、低成長等の社会経済情勢の変化を踏まえると、都市計画決定後、 長期間が経過し、その必要性に変化が生じつつある道路もある。
- このため、国土交通省では、平成12年、18年、23年の3度にわたり、技術的 助言である「都市計画運用指針」を発出し、地方公共団体において都市計画道路の必 要性について検証を行い、その結果を踏まえて、廃止や幅員変更など適切な見直しを 行うことを助言している。
- 具体的には、「長期にわたり事業に着手されていない都市施設等の都市計画については、見直しのガイドラインを定めるとともに、これに基づき、必要性の検討を行うことが望ましいこと」、「都市計画決定当時の計画決定の必要性を判断した状況が大きく変化した場合等においては、変更の理由を明確にした上で見直しを行うことが望ましいこと」等を助言している。
必要性をよく判断したうえで、見直しが望ましい、という助言ですが、見直しを求めています。国交省の見直し手引きの背景には、都市計画道路の整備には、小平市施工の路線でも一定の基準を満たす路線の整備では、国の予算が約1/2、都の予算が約1/4、の補助がされる仕組みになっており、国も人口減少、税収不足、赤字国債も積みあがり1000兆円を超えている現状です。インフラ整備にかけられる予算を確保できなくなっているということが背景にあります。都市部の都市計画道路が長期未整備のまま、予定地が住宅地になっており用地買収に多額の費用がかかります。各都道府県の進捗はこちら。東京都は愛知県、福岡県、長崎県などどともに見直しゼロです。
東京都は見直しをどのように行っているかというと、10年に一度、東京都及び、区部、市を集めて、優先整備路線の選定を行っていますがその中でわずかに見直しも行っています。2016年3月に公表された東京における都市計画道路の整備方針(第四次事業化計画)として公表されています。 第2章 将来都市計画道路ネットワークの検証 のP36に見直し候補路線が、9本、約5㎞あげられています。 総延長 3,208kmの都市計画道路があって2014年の時点で完成率は63%と記載がありますので、1,186㎞の未整備の路線のうちの5㎞なので、0.4%とほとんど見直ししようとしていないのが現状です。 東京は、人口はまだ増加しており、さらなる発展のためには都市計画道路の整備が必要と考えています。整備方針の見直しには委員長を学者として、なぜ優先整備するのか、15項目の検証を行っており、野放図的に道路整備がすすまないようにしています。例えば、交通処理機能の確保には、交通量が一日6,000台以上が見込まれることなどの条件を定めています。この東京都の優先整備路線に選定されなかった路線も、新まちづくり・みつづくりパートナー事業では9割の予算を東京都が負担するので、どれだけ東京都が都市計画道路に力をいれているかがわかります。今回、小平市がその新まちづくり・みつづくりパートナー事業を利用したということになります。
そろそろ市議も都市計画道路に目を向けよ
小平市は、小平市の都市計画道路の整備状況は、総延長19,780mのうち、43.1%(2019年3月現在)で、「 計画的な整備の推進が課題になっています」としています。とにかく整備することを是として、国交省の方針とは異なる東京都に小平市は歩調を合わせています。
小平3・3・3号線 、小川二丁目の440mと鎌倉公園の予定地は農地が多いですが、果物をつくっている農家が多く、たかの街道沿いには直売所は北側に3件、南側に2件ならんでいます。夏はブルーベリー、秋はぶどう、なし、柿などの味覚が並んで私もよく買い物します。たかの街道の小川二丁目エリアをフルーツ通りと呼ぶ人もいます。 フルーツ通りは観光資源といえます。 熱心な農家さんが都市計画道路に土地を提供するのは、相続税で農地の一部を手放さないといけなくなるという背景もありますが、「まちづくりに協力したい」という思いからだと想像します。
小平3・3・3を早期に整備して、街を発展させたいとアピールして当選している保守系の都議もおり、同じような早期整備を求める小平市民の意見を耳にすることもあります。先のアンケートにも推進すべしという記述もあります。
ここから先は私の意見です。 小平3・3・3を考えるときに、東側の優先整備路線である新小金井街道と接続しないことには整備しても意味がありません。早期に整備してもらいたいという人は「約30年かかる道路整備を10年で整備してもらいたいという」のようなイメージを持っているのではないでしょうか?しかし優先整備路線に指定された西東京3・3・3は青梅街道から分岐して約2.5㎞と、小平市との市堺から新小金井街道までの小平3・3・3の約2kmの整備が先に行わなければなりません。さらに、新小金井街道から、学園東町など住宅密集地帯を通過して市役所の南側を通過して西武多摩湖線をアンダーパスして小川二丁目まで約2㎞、30年後も整備は難しいと思います。事業中の国分寺3・2・8号線の2.5㎞については、事業認可の2007年から、12年要しても府中市の多摩総合医療センターから五日市街道までの全線開通には至っていません。「2060年までの東京の人口推計 (東京都政策企画局)」によれば、東京都の人口は 2025年の1398万人をピークに、約30年後の2060年には、1173万人になると予測されて2060 年時点の高齢者一人当たりの現役世代人数は 1.4 人か ら 1.7 人と若干増加する見込みとされています。人口が減り高齢化が進んで税収が減り福祉の費用が増えて、東京都もいよいよ都市計画道路の整備にかかる予算を見直さざるを得なくなります。そうなる前に整備しておきたいというのが東京都の考えだと思われますが、厳しいものがあります。途中で整備をあきらめても南北の幹線道路をつなぐ東西道路として小平3・3・3が接続するのであれば一定の交通量が見込めるため意味があります。しかし山王通りと府中街道の440m、幅員28mの道路は、2060年も東西どちらもつながらない負のレガシーになる可能性が高いと考えています。2060年、生きていれば81歳になる私は小平市に住んでいる予定なので、負のレガシーになっている可能性が高い小平3・3・3、小川二丁目エリアの確認をしたいと思います。
日本の首都である東京都が 、まちづくり=都市計画道路の整備という発想でまちづくりをすすめていることこそ、日本が国際競争力を急速に失っている大きな理由の一つではないでしょうか。AI・IoTの時代、すでに監視カメラで、車両のカウントや、車種別ののカウントもリアルタイムにできる時代です。交通センサスなど、費用をかけて行う必要はなくなる時代になります。ビックデータからAIによる交通量予測を行い、帰宅ルートや帰宅時間の調整を促すような仕組みを都市全体で考えて欲しいです。莫大な予算をかけてインフラを作り続けるのではなく、インフラをつかいこなすノウハウを東京で確立して、中国やアメリカの都市より先に東京で実現して、ジャカルタやバンコクなど渋滞で有名な都市に輸出することは出来ないでしょうか。
保守系市議と与党会派の一部は、都市計画道路については推進或いは、都市開発部にお任せと考えている人が多いです。小平市の都市計画道路は、1962年、63年にすべて都市計画決定されたものですが、すでに55年経過しております。1本1本、予定地を歩いてくだされば現実的な計画と、そうではない計画、よくわかると思います。イメージを持って向き合って頂きたいです。 駅につながる都市計画道路など早期に整備したほうが良い路線もあるし、廃止も含めた見直しすべき路線もあることに気付くでしょう。推進、見直しのイチゼロではないはずです。 「 計画的な整備の推進が課題になっています」 というまとめにはならないはずです。 未整備の都市計画道路についてそろそろ ニュートラルな視点で、1本1本見ていき、優先的に整備する路線、見直すべき路線について、 市民の声も参考にして検討していく時期ではないでしょうか?東京都が2025年4月以降に優先的に整備する路線を決める東京都の優先整備路線には、小平市内の整備について、小平市民の意見を反映させた形にしていただきたいと思います。
まとめ
6月26日の小平市都市開発部の事業概要説明会によると、小平3・3・3号線のうち、小川二丁目の440mの区間が、山王通りから府中街道まで幅員28m、2車線、約440m整備されます。2027年完成予定予定。総工費約40億円。同時に小平3・3・3号線の南側に鎌倉公園を整備される予定ですが、こちらは部分開園も可能という消極的な姿勢でやる気が感じられる姿勢ではありませんでした。国交省は未整備の都市計画道路について見直しを推奨していますが、東京都は積極的な姿勢です。小平市は、もともと新小平周辺のまちづくり、鎌倉公園の整備とともに小平3・3・3を整備するという議論を進めていたが、新小平駅周辺の整備の予定は現時点ではなく、東京都の新みちづくり・まちづくりパートナー事業で予算がとれた小平3・3・3号線は積極的にすすめて、鎌倉公園は部分開園も可能という消極的な姿勢で2027年に、整備完了予定の見込みであることが説明会でわかりました。
以上(2019年7月7日)