ランニング

後悔しないフルマラソン、レース本番練習不足でもやれること

投稿日:2019年6月30日 更新日:

市民ランナーがフルマラソンのレース当日、ベストパフォーマンスを発揮するためのノウハウについて書きます。思うように練習をこなすことが出来ないままレース1週間前を迎えてしまったランナーにも有用な練習以外のノウハウとしてまとめました。

レースのエントリは4か月前くらいから始まります。倍率30倍以上の東京マラソンに至っては、2020年3月1日の開催に対して、2019年8月がエントリ期間と、6か月前がエントリ期間です。エントリすると市民ランナーはレースを意識しての準備が始まります。身体つくりの期間、走り込み期間、スピード練習期間、調整期間など、期を分けての練習メニューを解説しているランニング本やインターネット上の情報はたくさんあります。

この7つが、練習不足ランナーも、十分に練習できたランナーでも、直前までの対応およびレース当日の対応で、大きくタイムに影響してしまう項目として挙げられる要素です。要素のうち結果への影響が大きい順に大きさにして図示すると下のようになります。

*)青枠は自分で管理できること、だいだい色は自分で管理できない要素があるもの

このブログでは、練習以外の点でレースで力を発揮するために必要なことについて以下の流れで解説します。

レース当日までの体調管理

レース当日までの体調管理についてですが、これはほとんどのランナーの皆さんは意識されていると思います。1週間前くらいから仕事や、その他やるべき事を効率よく終わらせて早く帰宅して睡眠時間を増やすこと、練習の量を落として疲労を抜くこと、お酒を控えること、食べ過ぎて体重を増やさないことによって体調を整えるです。前日のお酒はどんな強い人でも避けるべきです。フルマラソンを走るのに必要な重要なエネルギーである糖質の一部は、肝臓に肝グリコーゲンとして蓄えられます。前日の夜にお酒を飲むと、睡眠中も肝臓がアルコール処理のために働くため、肝臓が疲労した状態で当日を迎えるからです。さらに、体調管理を追求したいランナーは、カーボローディングも有効です。カーボローディングとは体内に、多くの糖質を蓄積することです。有酸素運動であるフルマラソンのレースに必要なエネルギー源は体内の糖質だけではカバーしきれず、脂質と糖質の両方をつかってエネルギーとしますが、より使いやすいエネルギー源である糖質を少しでも多く体内に蓄えたほうがレースには有利です。前日の夜、早く寝て体調を整えるのは言うまでもないですが、前日の夜、当日の朝の食事は炭水化物と水分と共に体内に蓄えることが重要です。前日の夜には、食事の炭水化物の比率を増やし水分を多めにとって、体内に蓄積することが大事です。レース1週間前から行う古典的なカーボローディングもあります。私が実践しているカーボローディングは、日曜日がレースだとすると、レース6日前の月から、火・水曜日までは炭水化物であるご飯、麺類、パン、パスタ、じゃがいも、などをいっさい取らずに、たんぱく質、野菜を多めにとる食事として、炭水化物飢餓状態をつくります。木・金・土で、炭水化物の量と飲む水分量を増やして、たんぱく質や野菜を少なめにして、糖質を体内に蓄積します。私の場合は木金は、朝昼で2.5合のご飯をたべます。夜はパスタ300gほど食べます。土曜日は、体重増とお腹を壊すリスクがあるので、土曜日の朝の体重をみながら食べる量を少しセーブしてカーボローディング開始時の6日前から体重を⁺1kg増程度とします。本当に効果はあるかどうかわかりませんが、この方法でカーボローディングすると結果につながっているので、効果があると自分では信じています。注意しないといけないのは、食べ過ぎて体重が増えることです。レース1週間前からは体重を毎日測って、自分のベストの体重から1kg以上は増やさないことがとても重要です。逆に1kg増えた体重でベストになるように1週間前までの練習を積んで身体が絞り込めているとすると、理想的な体調管理ができたことになります。

天候(気温、湿度、風、雨)

レース当日に最も影響が大きい要素は、天候です。具体的には温度・湿度・風・雨などのコンディションです。この要素がもっとも大きな要素です。ん?しかし自分ではレースの気候は選べない外的なコンディションではないか?と思われる方が多いかもしれません。確かにその通りですが、当日は気候を選べなくてもレースをエントリする段階で選ぶことが出来ます。レース中の気温は、何度がもっとも力を発揮できるでしょうか?私の場合は、8℃くらいでスタートして12℃くらいでフィニッシュできるレースが良い結果を出しています。これ以上の気温になると、給水が追い付かなく、心拍数もあがってしまい後半スピードが維持できなくなります。しかし、私の周りには12℃くらいでスタートして、17℃くらいまで上昇するくらいが良いというランナーもいます。私がこれまで、ベストの力を発揮できたレースの結果での当日の天候を考えると11月後半から2月末までのレースに限定されます。温暖化がますます進んでいるせいか、11月前半、3月、4月のレースは暑くて記録は狙えないということを、ここ数年経験しています。雨と風は、さすがに当日の運次第になります。しかし、風が強いことで有名なレースはあります。例えば、板橋Cityマラソンなどは河川敷ということもあって、風が強いことが多いです。風が苦手な人は避けるべきだと思います。

コース、大会規模

次の要素は、レースコースです。まずはアップダウン有無が大きいです。これもレースの記録に大きな影響を与えます。同じ42.195kmでも、アップダウンが多いレースは、しんどくて記録は出にくいです。アップダウンが少ないレースは、関東近郊ですとコース変更後の東京マラソンやつくばマラソン、湘南国際マラソンなどがあります。東京は抽選が当たらない、つくばマラソンや湘南国際マラソンも人気がありエントリーが難しいです。これらのレースは大会規模も大きく、スタート時の混雑によって、自分のペースで走れないためロスをするというデメリットもあります。市民ランナーはネットタイムを自分の記録として良いと思うのですが、スタートラインを切ってからのロスも大きいのでネットタイムも遅くなってしまいます。私は アップダウンはあまり苦手意識がなく、むしろスタート時の混雑が苦手なので、レース規模が5000人程度以下の大会を選択しております。例えば大田原マラソンは、11月後半の栃木県の北部の大会で、4時間の時間制限がありますが 出場枠は3,500人と少ないです。コースは前半は下り、後半緩い上りが長く続き平地のレースよりはキツイのですが、記録を更新したいと意気込んでのぞむ際のレースとしてに出場しています。

トイレ対策

トイレ対策。ベテラン市民ランナーでもフルマラソンでトイレに行ってロスしてしまっている場合があるようでとても残念てす。2分から場合によっては5分以上タイムが遅くなってしまうのは、自己ベスト更新はかなり難しなるでしょう。私の行っているトイレ対策です。まずはお腹を壊さないこと、前日夜と当日の朝は消化の悪いものは控えること、生物や発酵食品や海藻類など、お腹を壊す要因となるものや消化の悪いものは避けるべきです。小の方の対策は、これは水分を控えることなんですが、カーボローディングには水分が必要で難しいところです。当日の朝の食事も含めて紹介します。前日までは水分は十分に取るようにしています。当日の朝から水分対策します。まずは寝起きにコーヒーを一杯飲みます。バナナなど消化の良い果物を少し。カフェインの利尿効果で出やすくなります。その後はレース2時間30分前におにぎりを1合から1.5号、水分をとらずに食べて最後のカーボローディングをします。消化の悪いおにぎりにつける海苔は食べないようにしています。レース直前まで排泄しつづけて、レース直前で、水分足りないと感じたら少しだけスポーツドリンクやアミノバイタルのゼリーなどの水分をとります。レーススタート後は、エイドでは、最初からスポーツドリンクをとり以後もエイドで給水しつづけます。暑い時は二杯分とるようにします。この方法でこれまでフルマラソンでレース中にトイレに行かずにレース完走しています。トイレ対策は慣れると比較的容易ですが、油断するとトイレにいくことになるので、最新の注意を払いましょう。

ペース配分

次にペース配分、レース記録に大きく影響を与えます。一番良い方法は直前のハーフマラソンのタイムに持久係数をかけた時間を42.195kmで割ってラップのイーブンペースで走る事です。詳しくはこちらの記事をご覧下さい。市民ランナーで優勝や入賞を狙うランナー以外はライバルとの戦いがないため、イーブンペースで行くのが最も効率が良いです。2019年の東京マラソンで、日本人のトップ選手の成績を見ると顕著に現れています。MGCの出場資格を取得済の佐藤悠基選手はアフリカ勢のトップ選手の集団についていく攻めの走りで、35km近くまで見せ場をつくりましたがその後大きく失速して2:15:07のタイムで全体16位に終わっています。オーバーペースだったことがわかります。神野大地選手、今井正人選手はMGCの目標タイムである2:11分台、2:10分台を目指しておりタイムだけに集中して前半をセーブしてました。結果として今井選手と 神野 選手は後半の落ち込みはほとんどなくゴールして2:10:30、2:11:05と全体の6位、8位で、日本人順位は2位、4位と好成績を出しています。 神野選手は2018年の東京マラソンの2:10:18の自己ベストよりはタイムは悪いですが、気温が低く雨のコンディションを考えると良い記録といえると思います。今井選手は2015年東京マラソンで2:07:39の自己ベストを出していますが、2016年以降のマラソンでは2:11台に留まっていましたことを考えると好記録と言えます。MGC取得の目標タイムに絞ったため序盤からペースを抑える走りであったのですが、イーブンペースで十分に力を出し切れたと言えます。市民ランナーも同じで自分の実力を出し切りたいなら、設定タイムをイーブンペースで走ることが一番力を発揮出来ます。

*)40㎞~ゴールまでの2.195㎞は、5㎞あたりのペースに換算している。

サプリメント

サプリメントも大きな効果を発揮しています。市民マラソン大会では、レース中の給食以外でも選手がジェルや雨などエネルギーを持っていくことは禁じられていません。何故サプリメントを持っていくかというと、フルマラソンを完走するのに必要なエネルギーを体内の糖質である筋グリコーゲンと肝グリコーゲンだけでは賄えないからです。脂質もエネルギー源として利用しますが、記録を狙うフルマラソンの大会でペースをあげた走りをすると脂質に対して糖質を使用する割合が増えるため糖質切れを起こすからです。糖質の補給は、エイドの給食もありますが、カロリーが高く、効率の良いパワージェルを持っていくのが良いです。また体内の糖質が枯渇すると、筋肉を構成するタンパク質を壊してエネルギーに変えようとします。これを糖新生と言います。糖新生を防ぐ目的で重要なサプリメントがBCAAと呼ばれるバリン、ロイシン、イソロイシンという必須アミノ酸です。私はパワージェルはカロリー116kcalあり、わずか40gと軽量な日本新薬のWINZONEエナジージェルというものを3つ、BCAAは、味の素のアミノバイタルPro(アミノ酸3600mg)を愛用しています。アミノバイタルの顆粒をレース15分前に2本飲んだ上に、レースにも2本持って行きます。飲み方はパワージェルは10㎞~15㎞で1本目、20~25㎞で2本目、30~35㎞で3本目と前半から定期的に飲むようにしています。なるべく体内に蓄積されている糖質を使わないように早めにパワージェルをとりますす。そしてレース終盤の35km以降で、脚が重くなり動かなくなるころに、BCAA注入でアミノバイタルを2本同時に飲むようにしています。これらのサプリメントは腰にまくポーチに入れていきます。フルマラソンを3時間前後で走る市民ランナーは実はポーチをつけていないランナーが多いです。つまりエイドの給水・給食だけで走り切るのですが、私にはなぜ、他のランナーがサプリをもっていかないかがわかりません。サプリメント効果は終盤に発揮されます。とても大きいと思っています。

シューズ

最後の要素がシューズです。本来このことはこのブログには書きたくなかったのですが、世界のトップランナーだけでなく、自分の周囲の市民ランナーがNikeの厚底シューズで好タイムを出しており効果は否定できないと思いますので書くことにしました。ソールにカーボンが使われているため、Nikeのシューズは着地から離地までの反発力が強く跳ねる力を長時間補助してもらえるのでで速く走れるのだと思います。今後、Nike以外の会社もカーボンソールを採用する流れができるかもしれません。しかし自分は当面は履かない予定です。値段が高いが寿命が短いこと、長期的にはカーボンソールを使う事が禁止すべきという議論が世界的に起こる可能性もあると考えていることから様子を見ることにしています。

まとめ

以上、レース選びの段階でレース時期・コースを選択することで最も重要な気候、アップダウン有無、大会規模などコンディションをある程度選べること、 、レース1週間前からの体調管理、 当日大切なトイレ対策、ペース配分、トイレ対策、サプリメント、シューズについて書きました。7月から11月の大会のエントリーも始まりますので参考にしていただけると嬉しいです。

以上(2019年7月1日)

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    小平市在住の50代男性のkamihooです。40歳から本格的にフルマラソンの大会に参加し始めて、2017年11月に48歳で大田原マラソンでサブスリーを達成しました。自己ベストは2020年1月の勝田全国マラソンの2時間54分37秒です。「ジョグのねっとわーく」でランニング日記をkamihooのアカウントで公開しています。https://jogno.net/

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