ランニング

フルマラソン記録を出しやすい年間レース計画

投稿日:2020年1月2日 更新日:

2020年が始まりました。マラソンシーズンが始まってランナーのみなさんも秋から冬の一回目のレースがおわったころでしょうか?次のレースは春、1月から3月で1回か2回入れているとかそんな人が多いかと思います。

フルマラソン、ハーフマラソン、毎年同じ時期に同じ大会が世界中で開催されます。どの大会にエントリーするか毎年悩みます。抽選の大会があると抽選結果に振り回されて、保険のようにもう一つ別の大会をエントリーをしたりするランナーもいるようです。

大会で記録を出すためには大会に向けての準備がもちろん大事ですが、年間計画がさらに大事です。そしてレースとレースの間の練習の仕方が大事です。自分の10年間のマラソンキャリアを整理しながら説明したいと思います。

もっとも記録を出しやすい大会はどの時期なのか?

記録が出やすい時期は、気温が低い時期の大会です。具体的には11月から2月くらいまでになります。私の場合は、気温は8℃~12℃くらいまでのコンディションがもっとも力を発揮できるコンディションだと思っています。2009年以降のフルマラソンの全大会を振り返り記録と気温の関係を見てみます。

  日付 記録

最高気温

最大風速 天気
喜多マラソン 2009年6月7日 3:51:00 28 7.2南
つくばマラソン 2009年11月22日 3:09:22 8.5 3.3北東
東京マラソン 2010年2月28日 3:09:43 5.2 2.6北東
大田原マラソン 2010年11月23日 3:00:05 12.7 12.6北
かすみがうらマラソン 2012年4月15日 3:19:10 14 7.6北東
勝田全国マラソン 2014年1月26日 3:36:13 14.3 4.7北北西
さのマラソン 2014年12月14日 3:13:13 8.5 4.6北
さのマラソン 2015年12月13日 3:17:03 11.5
かすみがうらマラソン 2016年4月17日 3:16:24 20.6 7.8南南西
さのマラソン 2016年12月11日 3:02:20 9.6 5.8西北西
大田原マラソン 2017年11月23日 2:59:29 14.4 4.5北北西 小雨
佐倉朝日健康マラソン 2018年3月26日 3:04:09 19.7 4.6南西
ぐんまマラソン 2018年11月3日 3:00:19 18.5 2.1北西
さのマラソン 2018年12月9日 2:57:47 8.3 4.7北
館山若潮マラソン 2019年1月26日 2:56:19 9.1 8.2北
大田原マラソン 2019年11月23日 2:56:39 10.5 3.3北 小雨

表1.私のフルマラソン全記録と、気象最高気温、風速、天気)、力を出し切れた大会は背景黄緑。過去の気象情報は気象庁のこちらから

私のマラソンへの取り組みは、2009年から2010年までが、最初にがんばった時期で、その後2010年1月東北大震災の前に腸腰筋を怪我してしまい立てないほどの痛みでしばらく競技から離れます。2016年から再び本格的に練習を再開しました。その時々で力を出し切れたと感じた大会は、2009年つくば、2010年大田原、2014年さの、2016年さの、2017年大田原、2018年さの、2019年館山若潮、大田原です(表1で背景色黄緑色)。

いずれも最高気温が15℃以下の大会です。このことから私にあったレースコンディションは最高気温15℃以下の大会ということになります。2018年の佐倉朝日健康マラソンと、ぐんまマラソンは、暑さで後半失速してしまいました。それでもぐんまマラソンはかなり粘り切れたレースでした。しかし身体への負担はとっても大きくぎりぎりの走りでした。1か月後のさのマラソンと比較して2分22秒遅い。これが気温の差です。こちらのブログ「心拍計を使ったフルマラソンのペースコントロール」について、どんな環境でも最大限力を発揮するレースの組み立てについて詳しく解説しているのでご覧ください。

逆に、2010年の東京マラソン最高気温が5.2℃でしたが小雨でとても寒く後半大きく失速しました。このことから、自分は競技中の気温が8℃~15℃くらい、さらに贅沢を言うと8℃~12℃の間が最も力を発揮できると考えています。もう少し高い温度の方が良いというランナーもいるでしょう。

では、日本の四季の中でどの時期のレースを選択すればよいでしょうか?気象庁の公開している情報から、10月から5月の東京の平均気温のグラフをつくってみました。

図1.10月から5月 東京の平均気温(1990年から5年単位)
図2.10月から5月 東京の平均気温(2010年から2019年)

マラソンシーズンは、10月から5月としています。縦軸は東京の平均気温、横軸は図1は、1990-94年、1995-1999年、2000-2004年、2005-2009年、2010-2014年、2015-2019年です。図に2000年から、2019年までの1年ごとです。

ここ10年くらいは、温暖化が進んで気温が上がっていると思って、図1の30年単位と、図2の10年単位で平均気温を見てみましたが、平均気温のグラフにしてみると大きく変わっていませんでした。

10月と5月はどちらが暑いか微妙で平均気温が15℃を超えています。平均15℃以上が厳しいと感じるランナーは、避けたほうが良いでしょう。次に暑いのが4月で15℃前後です。平均15℃ということは、もっと上がる可能性があるわけで、15℃でレーススタートが厳しいと考える人は避けたほうが良いでしょう。次に暑いのが11月になりますが、平均気温が14℃以下くらいです。現実に10月、11月には、各地でレースが開催されてシーズン1回目のレースとするランナーが多いので、出場されるランナーは多いでしょう。なるべく寒くなっていく11月後半の大会や、気温が低いエリア、例えば東北や北陸の大会などを選択すると比較的良いコンディションで走れるかもしれません。

残る選択は、12月、1月、2月、3月です。気を付けないといけないのは3月です。東京の平均気温で言うと、3月は11月よりも気温は低いのですが、図3に東京の最高気温を1990年以降5年単位でまとめたグラフです。

図3.10月から3月 東京の最高気温(1990年から5年単位) 

3月の最高気温は、5年単位で見ていくと上昇しています。15℃を超えることはしばしばあるということです。 11月は逆にまだ暑さになれているので15℃には適応しやすいですが、 3月の場合は、大会当日が15℃を超えると、身体は暑さに慣れていないため、不意打ちを食らったような大きな負担を感じることになります。3月の大会は暑くなる可能性が高いということを念頭においてレース計画をしないといけません。そうなると最高気温でも、14℃以下となっている12月、1月、2月が最も暑くならない可能性が高いレースに適したシーズンということになります。とっても狭い期間がレースシーズンです。では、どういうレース計画を立てれば良いでしょうか?

シーズン2回の理想のレース計画

秋(11月12月)に1レースいれて、春(2月、3月)にレースを入れて年2回のレース計画というのランナーが多いと思います。または、1月にもう1レース入れて3レースというランナーもいるでしょう。

さらにレース頻度をあげるランナーもいます。フルマラソンを1か月ごとに繰り返す川内優輝選手のようなランナーも見かけます。川内選手の場合は、結果を出し続けていますが本命レースと練習レースを使い分けているのと、ランナーとしてのトップクラスのランナーと比較しても身体が出来ていることが大きいでしょう。市民ランナーでも、シーズンに5,6回のフルマラソンのレースを入れるランナーもいますが、 すべてに満足のいく結果を出すのは難しいでしょう。怪我をしてしまったり、数年で飽きてしまったり長く継続できない場合が多いと思います。

やはり年に2-3回フルマラソンを走る、そして出来れば満足のいくタイムで走れると、長くランニングを継続することが出来ます。

一方、マラソンのトレーニングとしては期分けという考え方があります。レースまでの6か月単位でトレーニング計画をたてる方法です。リディアードの期分けなどが有名です。有酸素運動のベースつくりで低速で長く走る期間を多くとる3か月、ベースづくりの練習からスピード練習への移行期間として坂道やトレイルなどを取り入れて足腰を鍛える期間が1-2か月。トラックによるスピード練習を取り入れる期間1-2か月のような組み立てです。

このようなプランだとすると、1回目のレースを11月末に入れるとして、5月からトレーニング開始。5-7月は有酸素運動、8月~9月は坂道やトレイルを加え足腰を鍛えて、10月からスピード練習も入れてハーフマラソンなども入れて11月末にレース本番ということですが、6か月準備して気温が暑すぎて実力が出せなかったら残念ということになってしまいます。次の大会が3月だとして、疲労回復で1か月。ベースつくりはは出来ているとして、また1か月で足腰を鍛えて1か月スピード練習をして、3月の本番として、もし暑くて思うように走れなかったとなると、とっても残念な結果になってしまいます。

では理想のレース計画はどうあるべきでしょうか。私は11月後半か12月に1回目のレースを入れて、2か月以内の1月か2月にもう1レースいれるというプランが最良と考えています。3月には気温があがるリスクがあります。

11月後半から2月までの短い期間にレースを入れてしまえば両方ともコンディションの良い環境でレースが出来る可能性が高いです。2回のレースで自己ベストを出せる可能性もあります。 2か月でフルマラソンの疲れは回復するのかというと人によって異なりますが、 気を抜かずに調子を維持できる期間は短い方も良いとも言えます。それだけレースに集中することが出来ます。飲み過ぎ食べ過ぎを抑制する期間を短くすることが出来るのです。レースで結果を出すためには、病気にならないような抑制することはもちろんですが、体重を増やさないようにする自己管理することが、とても重要です。

さらに、自分の体調が一年で最も良いサイクルがどのあたりかを知ることが大事です。周りのランナーを見ていると、11月、12月に自己ベストを出すランナーと1月、2月に自己ベストを出すランナーと二つに分かれる傾向があるように思えます。身体のサイクルがどちらに合っているのかを見極めて、どちらかを本命の本命として集中して取り組むのとさらに自己ベストが出やすいと言えるかもしれません。

本番レースに向けた年間計画について

期分けの考え方は多くのランナーの支持を得ており悪くありません。しかし、何年も長距離競技に取り組んでいたらベースの基礎作りの期間を設ける必要はありますか。ランナーは走り続けていれば、ベースの走力は落ちません。例えば、2月に2回目のフルマラソンを終えて、2か月休養するならば、ベースの基礎作りの3か月の期間を持つのは良いでしょう。例えば怪我しているのを抑えてレースに向けて調整してきた場合などは、長期間休んで完全に治してしまうのが良いです。その場合はベースの基礎作りから再開するのは悪くないでしょう。

しかし調子が悪くなければ、休養は2週間程度で十分で、次のシーズンのレースに向けて準備を開始したほうが良いでしょう。一般的には、4月、5月、6月くらいまでスピードを磨く時期として考えているランナーが多いです。暖かくなって怪我のリスクも減るのでスピード練習をして駅伝や、1.5㎞、3㎞、5㎞などのトラックのレースで記録を目指してベースの速度の走力をあげるのが良いでしょう。

6月からは暑くなるため、ペースをあげるのは難しくなりますので、ペースを落とさざるを得ないのが現実です。スピード練習をするのであれば早朝や夜間に練習することになりますがそれでもペース設定は少し遅くすることになります。現実には、少しでも涼しい時間、涼しい場所、例えばトレイルコースなどで、距離を伸ばして、足腰を鍛える期間とするしかないのが現実です。 実際には期分けの計画は、日本の近年の気候だと東京近郊では難しいということです。 フルマラソンをターゲットにしているならばこの時期も30㎞以上の長い距離を走れると、9月以降の練習につながります。

9月からスピード練習を行って昨シーズンに比べて、どの程度の走力を持っているかを確認して行くことが大事です。まだ暑いので、昨年のシーズンの設定まで出来るかどうか微妙だと思いますが、少しずつレース本番の時期に出来る設定以上のスピードに持っていければ本番でも良い記録が出せるでしょう。スピード練習はインターバルやレペですが、詳しくはこちらを

https://runkodaira.com/running/interval/

インターバルトレーニングの意義から効果的な設定メニューを考える

10月からは本番に向けて30㎞以上のペース走を入れていくことが大事です。10月はまだ暑いので、設定しているレースペースより30秒くらい遅い設定で30㎞ペース走を始めて、11月になって気温が落ちてきたら、レース3週間前までに、レースペースより10秒から15秒ほど遅いペースで30㎞のペース走が出来ると良いでしょう。 出来れば3回、30㎞ペース走が出来ると良いです。 なお、レースの設定タイムで30㎞ペース走をするのは失敗するリスクと、身体への負担が大きいのでよほど調子が良くない限り、30㎞レースペース走をする必要はありません。というのは、11月では暑い日もあるわけで予定していた日が暑いとレースペースで30㎞走ることが出来ずに疲れを残し、自信を失うだけになってしまう場合があるのです。また距離は30㎞長くても35㎞以上までにすべきです。ペースを落としても35㎞以上は負担が大きく以後の練習計画に影響を残してしまいます。11月はまだ暑い、本番よりも走れない可能性が高いということを頭において練習計画をたてるべきです。

最後のペース走の余裕度と、レース2週間前にハーフマラソンを入れて全力で走ってその記録と昨シーズンの自分の記録からマラソンの設定タイムを決めて、ペース走のように本番に臨むことでフルマラソンで力を出し切れます。ハーフマラソンとフルマラソンには相関関係があります。詳しくはこちらを。

https://runkodaira.com/running/endurance-coefficient/

ハーフ/フルマラソンの持久係数とペース配分について

1回目のフルマラソン、仮に思うような走りが出来なくても、もう一度、2か月以内にレースがあります。1週間は完全休養して、2週間までは強度の低い練習に留めて、再びレースに向けた練習を開始します。フルマラソンを1回走ると、体力が回復するころに、スピード練習も楽に出来るような効果があります。休養2週間で残りは6~7週程度。最後の2週間が調整期間とすると強度を上げられる練習期間は4-5週間と限られています。この時期はスピード練習を詰め込むのが良いでしょう。ペース走はレース間隔が2か月なので、30㎞のペース走、ハーフマラソンを無理に入れなくても大丈夫です。 ペース感覚が気になるなら、5~10㎞程度のレースペース走をすればよいのです。前回のフルマラソンで感覚を身体が覚えているので、意外に安定したペースで本番走れるものです。むしろベースのスピードをアップすることで、本番はレースペースが余裕をもって走ることが出来るようになり、効果的です。

このブログに書いたことを、そのまま実践したのが2019年度のシーズンでした。詳しくはこちらのブログをご覧ください。2020年1月までの自己ベスト更新のシーズンのポイント練習を公開しています。

フルマラソン、サブスリーから2時間55分切りまで

https://runkodaira.com/running/subthree-to-2hour55min/

まとめ

  • 記録を出すためには、気温の影響が大きいため自分のベストで走れる気温の月にフルマラソンを走ると良い。15℃以上では暑いと感じるランナーは、11月後半から2月までにフルマラソンをを入れると、失敗する可能性が低いです。
  • フルマラソンの大会は走りやすい気温の期間に、2か月の間隔で2回いれることで集中力を切らさずに本番に臨むことが出来ます。
  • 期分けの考え方は間違っていませんが、日本では暑い夏があるため当てはめるのが難しいです。一年中練習しているランナーはベースの基礎つくりは必ずしも必要ない。
  • 年間の練習計画は、春にスピード練習をしてベースの走力をあげて、夏は朝や夜の涼しい時間で出来る範囲で練習をして、9月以降にスピード練習や30㎞のペース走を行って1回目のフルマラソンを目指すとよい結果につながります。
  • 2か月以内の2回目までのフルマラソンではスピード練習を中心に行うことで良い記録を出すことが出来ます。

以上(2019年1月2日)

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    小平市在住の50代男性のkamihooです。40歳から本格的にフルマラソンの大会に参加し始めて、2017年11月に48歳で大田原マラソンでサブスリーを達成しました。自己ベストは2020年1月の勝田全国マラソンの2時間54分37秒です。「ジョグのねっとわーく」でランニング日記をkamihooのアカウントで公開しています。https://jogno.net/

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